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いつでも君のこと好きだったよ

澤村斉美歌集『galley』批評会

2015-01-12 18:57:06 | 日記

 きのうは澤村さんの『galley』の批評会でした。 参加者は70名。 やはり、評判の歌集なので遠方からもたくさん来られていました。

 

 パネリストは中津昌子さん(司会兼任)、上村典子さん、山崎聡子さん、梶原さい子さん。 総合司会が永田淳さんで進められ、全体的にソフトな感じで時間は流れていきました。

 

 職場、夫、自然、私、 といったカテゴリー別にそれぞれが分けたものがレジュメに並んでいて、4人の共通のカテゴリーは「仕事(職場)」でした。 

 

 年代別に読み取り方が違う点や、比喩が多いのにそれに気づかせない、技巧ではなくてものの見方そのものとしての比喩であるという指摘、さまざまな角度から読める歌集であることが歌の良さに加えてバランス感覚のよさについても語られました。

 

 澤村さんは新聞の校閲の仕事をされているので、「仕事」「労働」というキーワードで語られることが多くなるだろうとは思っていましたが、会場発言のときに、花山周子さんが「澤村さんの歌のよさは仕事の歌よりも別のところにある」と、愛のあるいらだちを訴えていたことがとても印象的でした。

 

 私は初めて読んで付箋をつけ、ノートに書き写してからほぼ1年後にこの年末から通勤時間やお昼休みに読み直していたのですが、1年前の歌とはまったく別の歌に付箋がどんどんついていって自分でも驚きました。 自分の心の変化なのか、それはよくわからないのですが、ゆっくりとしみ込んでくるような歌がいいなぁと思ったのです。

 

 ・からだの中に中洲ありたりふつくらと薄が覆ひなにも言はざる

 ・夢にても地味に生きてゐるらしく「はいよ、お水」とつぶやきしのみ

 ・ほつそりと影をのばして鉛筆が転がつてゐる君のゐた場所に

 

 暖かいのに静かで、豊かなのに寂しい。 「はいよ、お水」はいかにも澤村さんらしい。 「はい、お水」じゃなくて「はいよ、」なんですね。 

 

 そして、二次会での会場発言でもいったけれど、私がいま一番好きな歌は、

 

 ・目を閉ぢてゐても南天の白き花 私のそばで咲いてゐたんだ

 

 ささやかだけど、底のほうから力をもらえるような歌。 読み直す機会がなかったら、通りすぎていたかもしれない。 批評会があってよかったなぁと心から思います。

 

 なかなか普段会えない人に会えたり、全国大会では話す時間がなかった人と話せたり。 冬になると『白へ』を読みたくなって読み直してくださったという人もあって、嬉しいなぁと思いました。

批評会には時間の許すかぎり、なるべく出かけてゆきたいと思っています。

 

 

 

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