ビアンカの  GOING MY WAY ♪

昨日・・今日・・そして明日
   人生は ・・・ダバダバダ・・・

覚えていますか、第五福竜丸

2006-10-30 | art/exhibit/museum

先日夢の島公園に行った時、久しぶりに
第五福竜丸展示館を覗いて来ました。
1954年に太平洋のビキニ環礁でアメリカによる
水爆実験により被爆したマグロ漁船です。
偶然「ベン・シャーン」の絵を少し見ることができました。



今月発売されたこの本の挿絵のコピーが展示されていた
のですが、絵の横に添えてある詩が、
アーサー・ビナード氏のものだったのです。
彼のこともベン・シャーンの事も良くは知らないけど、
ビナード氏は雑誌「ミセス」の中の一ページ<ひとつの詩のはじまり>で
 クレーの絵の横に短い詩を書いているので覚えていました。
どうしてアメリカ人が日本語で詩を書いているのだろう、と
不思議に思っていたし、読んでも決して下手ではないし・・・
プロだもの、当り前かぁ~と納得してみたものの、
相手は日本人ではない。やはり、なんか引っかかります。
2001年に『釣り上げては』(思潮社)で、中原中也賞を受賞したり、
雑誌ミセスの特等席のような場所に連載で詩を、
それも大画家の絵と共に載せているだなんて。
日本語の達者な日本人にだって、詩を綴る事はけっして易しいことではないし、
私だって外国に14年居住したけど、その国の言葉がメインとなる
職業を持とうとか、持てるとか、思った事もありませんでした。
一方、
ベン・シャーンが、アメリカの「ハーパース・マガジン」に依頼されて挿絵として描いたのが
この第五福竜丸のシリーズでした。その他にも、

  • サッコとバンゼッティの受難(1931-1932)サッコ・バンゼッティ事件
  • 盲目のアコーディオン弾き(1945年)(ノイバーガー美術館)
  • リルケの『マルテの手記』より(1968年)

が、代表作と言われているそうですが、「フォーチュン」とか「エスクァイア」などにも頻繁に
イラストを描いていたそうで、デザイナーの憧れ的な存在だったようです。

会場には絵本の販売もありましたが、まずは小冊子「青春と読書」に100円を払い、
この絵本の装丁を手掛けた和田誠氏とアーサー・ビナード氏の対談、
《ベン・シャーンが描いた「第五福竜丸事件」》を興味深く読みました。

和田氏は大学一年の時に、「グラフィック展」でベン・シャーンの「ウイ・ウォント・ピース」
というポスターに釘付けになり、上記の洋書を古本屋で探し、
彼の絵を探し捲ったといいます。
探すといっても必ず見つかるほどの人気画家だったといいますが、
ずっと社会を見つめて描いていたようです。
また、アーサー・ビナード氏の、対談中の次の言葉に
同感の気持ちでいっぱいになりました。彼、この対談を、このとおりの日本語で
お話しされていたのかしら?驚きです。

 サッコとバンゼッティ事件は今や歴史の本を丁寧に読まないと出会えない。
でもベン・シャーンの絵は今見てもちっとも古くなく、「誰だろう、この二人」って
絵からその事件に興味を持つ人が少なくないはず。
ベン・シャーンが描いたおかげで、歴史がつながっているとも言えるような気がします。
*・*・*・*・*
文学作品や美術作品はそういう責任を担っています。
宗教でいえば、例えばカトリックからキリストやマリア様の絵を全部取り除いたら、
誰が教会に行くんですか?
ある意味でベン・シャーンはジョットみたいな存在かもしれないね。
この第五福竜丸の事件も、彼が描いていることでつながっていく。

*・*・*・*・*

9月23日 久保山さんの 心臓は とまった。
「原水爆の 被害者は
わたしを 最後に
してほしい」といって
かれは なくなった。
ひとびとは わかってきた――
ビキニの海も 日本の海も アメリカの海も
ぜんぶ つながっていること。
原水爆を どこで 爆発させても
みんなが まきこまれる。
                                 (絵本より抜粋)

館内の壁には来場者のメッセージカードが掲げられていました。
これらを読みながら、どういうわけか息子が何日か前に、懐かしくなって・・と言って
買ってきたCDの歌がリアルに蘇ってきました。
子供が5才にもならない小さい時に、家族して年中聞いていた曲。




 We are the world, we are the children

We are the ones who make a brighter day

So let’s start giving

There’s a choice we’re making

We’re saving our own lives

It’s true and  we’ll make a better day

Just you and me

 

 

 


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9 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ミサ)
2006-10-31 07:22:57
夢の島のソバ畑楽しく拝見しました。

きっとネイビーサンも興味深く、喜んで拝見するでしょうね。



今日の投稿も人事には思えません。

我が娘婿もアメリカの軍人、娘の出産とイラク行きがぶつかって、春に3ヶ月娘からので行っていたわけですが、戦争が長くなれば再度、彼の担当の警察犬を連れて行かなくてはなりません



5人家族と愛犬『マツゥイ』の幸せな姿を見てると、本当につらいです。

こんな家族が世界中に沢山いるんでしょう。

いつに成ったら人類みなお友達になれるのかしら?



ちょっとしんみりしてしまって
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I AM A FISHERMANが胸を打つ (カメリア)
2006-10-31 14:27:50
そして以前「死刑台のメロディ」見ました。
特に深く考えもしなかったけれど、biancaさんのお蔭でベン・シャーンのこともアーサー・ビナード氏のことも知ることが出来ました。
映画はエンリオ・モリコーネの音楽、ジョーン・バエズの歌だったようで、記憶にあるようなないような・・・
ほんわかノーテンキに毎日を過ごすばかりでしたが、ピリリとbiancaさんに刺激をいただきました。
有難うございます!
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一度も行ってない (netton)
2006-10-31 17:30:05
第五福竜丸展示館は江東区夢の島公園に保存されて30年になるんですってね
その間夢の島マリーナには結構足を運んでいるのに、展示館には一度も足を踏み入れた事がありません。
無関心というか不謹慎というか・・・
せめて「ここが家だ」を買って読みます。
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第五福竜丸 (poppy)
2006-10-31 19:27:47
ビキニ環礁で被爆したということは知ってましたが・・
夢の島に行ったけどみてなかったですね
今度行ったら見てきますね。
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第五福竜丸 (ネイビー)
2006-10-31 21:48:32
第五福竜丸展示館、ソバ畑を見に行ったときに
私も見てきました。
そのときには、どこで行われ、どんな人たちが、どんな風な被害を受けたのかなど、パネル仕立てで壁に貼ってありました。
壁伝いのパネルを読んでいるとチェルノブイリもそうですが、核爆弾の悲惨さを感じます。
パンパスグラスを見ながらヨットハーバーを散歩して
やっと息を思い切り吐くことが出来ました。
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アーサー・ビナード氏 (テレーサ)
2006-11-01 08:57:50
彼の文章を初めて目にしたのは、「月刊誌」のコラムでした。もう数年も前だったようなぁ~
「日本語」「漢字」「風習」などを、不思議な角度から見つめ、それを表現出来るんですね。
どんな人なんだろぅ~と、思っていましたが、今回のビアンカさんブログでよく分かりました。
今、多くの学校で「単位不足」が騒がれていますが、
「単位をただ取得する」のではなくて、世界に目を向ける為にも、若い時代に「世界史」をお勉強して欲しいものです~。
 オバさんだって、「今から・・」お勉強ですもの
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LUCKY DRAGON (かぐやひめ)
2006-11-01 12:33:49
「第五福竜丸」というと単なる船名として、さらっと目の前を通り過ぎていましたが「LUCKY DRAGON」と書いてあると、皮肉な運命が胸に刺さりました。
しかも日本人でさえ忘れかけていることを、アメリカ人が訴えてくれていることを知りました。
ただの社会見学として行きたいと思っていましたが、行く前に知ってよかったです。
ありがとう
We are the world~♪ どうしてすべての人が平和を望んで心を一つにできないのでしょうか?
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Unknown (bianca)
2006-11-01 23:57:22
ミサさん
大変でしたね。ブログでいつも明るく振舞っているミサさん。でも、本心、心配が絶えない事でしょうとお察しします。平和であって欲しいです。何で平和であることが、そんなに難しいのでしょうね。皆が願っているのに、おかしいわ!

カメリアさん
映画、見た事あるんですか。私は「死刑台のエレベーター」は、マイルス・デヴィスの曲が素敵で大好きでしたが、「死刑台のメロディー」のほうは知らなかったの。うちのパパは見たといってました。ビデオやさんにあるかしら?

nettonさん
そんなもんですよ。私は、たまたま寄ったら展示会に出会ったのでした。nettonさんは目的を持って行かれるから尚更でしょう。もう少し早く知っていたら、原画の展示も見れたし、ビナード氏が訪れた日にあわせて行ったのにィ!

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Unknown (bianca)
2006-11-02 00:28:42
poppyさん
熱帯植物園ではウィークエンドコンサートもあるようですから、そういう企画のある時に行かれるとなお更楽しめると思いますよ。展示館は、普段は船の展示とパネルでの解説だけですから。

ネイビーさん
お陰さまで、いい時に行けました。有難うございます。ネイビーさんと同じように、パネルを見ながらもちょっと重い厳粛な気持ちになりました。外に出たら、青い空と、ヨットハーバー、かわいい草花が視界に広がり、生きることはこうでなきゃぁ、と思いました。

テレーサさん
ちょっとしたきっかけで人を知り、昔を振り返り、普段のあたりまえの生活がかけがえのないものだと知ることになります。やはり、知って伝えることって大切ですよね。ここで・・私は一体何をやっているんだろうか、と頭を抱えてしまいます。それにしてもビナード氏って、ラッキーな方だなぁと思っちゃいます。

かぐやひめさん
私も「第五福竜丸」を十数年前に初めて見た時、グル~ッと一回りして終わってしまいました。今回はベン・シャーンの「ラッキー・ドラゴン・シリーズ」のお陰でしみじみと鑑賞出来たんですよ。中に展示してあるモールス信号で遊んでいたら、あの懐かしい音に胸がキューンとなっちゃった。この音にも多くの歴史があったんだな~って。
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