うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 三十二

2009-08-29 05:33:38 | 日記

つくつくぼうしあまりにちかくつくつくぼうし<o:p></o:p>

そんなにそばに来て鳴くことはないでしょう。もう夏も終わりですか、この世に別れに渾身の力を込めているのですね。まだこの世に未練ありですか、分かりましたよ。あたしの末期もきっと、あなたと同じに懸命に何かに縋るような未練を、見せるかもしれませんね。<o:p></o:p>

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柿の木のむかうから月が柿の木のうへ<o:p></o:p>

秋の月が煌々と天空に光を放ちます。庭先の柿の木がしばし月に遠く、葉がひとかたまりとなって暗闇に暗然と佇んでいました。月は昇り廻って柿の木の頭上で一段と光を増します。柿の葉が一枚一枚真昼のように識別できます。一段と艶と青味を増しています。<o:p></o:p>

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寝床へ日がさす柿の葉や萱の穂や<o:p></o:p>

膝を叩いて思わず絶句、あやかりたいものと気は急くものの、所詮は叶う筈のない光景です。朝日が早々に昇り瞬時に部屋一杯に陽光が射し込みます。まばらに木々の姿が影絵となって畳の上に、蒲団の上に波打つ海面のように広がりを見せて行きました。<o:p></o:p>

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郵便屋さん<o:p></o:p>

たより持つてきて熟柿たべて行く<o:p></o:p>

山頭火、満面に笑みを浮かべて郵便屋さんを接待しております。それもそのはず、友からの嬉しい便り。後でゆっくり読むとして、先ずは感謝の気持ちで甘味一杯の熟柿を「どうぞどうぞ」と。受ける郵便屋さんも笑顔です。ことによると、配達されたのは便りだけではなさそうです。受けて嬉しい現金為替か、それに加えて冬に向っての袷の差し入れでしょうか。今夜は久しぶりに一杯といきますか。<o:p></o:p>