うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 二十一

2009-08-18 05:17:00 | 日記

やつと郵便が来てそれから熟柿のおちるだけ<o:p></o:p>

待ちに待った郵便が届きます。現代と違って通信事情といえば一枚のハガキか封書、「モシモシ、元気かい」と気楽にはまいりません。その分振り込め詐欺なんてことも無いわけですが。山頭火、自分が筆まめだけに、友の便りがなによりの楽しみです。ときには嬉しい嬉しいカンパもあるのです。そんなとき熟柿が落ちて、嬉しさに花を添えてくれます。<o:p></o:p>

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人を見送りひとりでかへるぬかるみ<o:p></o:p>

久しぶりに俳友が訪ねてくれました。俳談に熱が入ります。友人たちの近況、噂話に笑いがこぼれます。そして別れの時間となり、別れ難く一寸そこまでと見送りに出ます。村の四辻で会釈をしての別れとなりました。一人かえる路上はぬかるんでいて、思わず足を取られてよろめきます。<o:p></o:p>

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お月さまが地蔵さまにお寒くなりました<o:p></o:p>

月が煌々と田舎路を照らしています。空気はあくまで澄んで冷たい夜気が流れていき、道端のお地蔵様が親しげに月を見上げているようです。月もそれに応えて、「お晩です、お寒くなりましたね」。<o:p></o:p>

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落葉を踏んで来て恋人に逢ったなどといふ 或る若い友<o:p></o:p>

庭先の落葉をせわしげに踏んで若い友人が訪ねて来ました。思いなしか息が弾んで頬を紅潮させております。家に入る間も惜しげに、途中で恋人に逢ったと言ってのけます。話題は専ら恋人のこと、山頭火は聞き役に徹していました。初老ともいえる山頭火にとって、若い友の話は生々しく、若き日の自分はどうしても蘇えりません。次第に苛立たしさが募ってまいります。<o:p></o:p>