昨日は「もう夏は終わりですよ」と宣告されたような、過ごし易い一日となり、おかげで子猫と一日遊んで過ごす他愛ない年寄りとなって、思わず独りニヤニヤしてしまった。
猫をかまっていて、はじめて猫を飼い始めたころのことを、いろいろ思い出してしまう。最初は大人になった雌猫を頼まれて飼うようになり、そのうち何が何だか分からぬうちに3匹の仔が生まれ、本格的に腰を据えて猫たちと一心同体の生活を送るようになった。最初のころは母猫が子育てをするので、ただその様子を目を細めてみていればよかったのだが、親離れしてからの騒動は半端ではなかった。
とにかく3匹の子猫が6畳の部屋を、縦横無尽に暴れまわる日々となってしまったのである。襖は破れ、座椅子の背もたれは破かれ、中身は食い千切られ、畳がぼろぼろになるのはアッというまであった。なにしろ会社の寮の賄い管理をしていたころのことであったので、終日部屋にいるわけではなく、六畳間は子猫どもの思いのままの運動場と化していたのである。
なにしろ3匹が組んではほぐれての取っ組み合い、噛みつきあい、まさに修羅場であった。それでも母子の猫たちにいろいろと教えられることがあった。母性愛の強さには先ず驚かされた。
まだ子猫たちが活発に動き回らぬころ、部屋と仕事場とはちょっと離れているのだが、時たま母猫がにゃーんと調理場に顔を覗かせることがあった。
マグロの切れ端を与えると、以前であればその場でペロリと食べてしまうのが、口にくわえて早足で部屋に帰り、子猫たちが満足するまで調理場と部屋を往復するのである。これには驚いてしまった。
明日に続く