うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 二十五

2009-08-22 04:46:29 | 日記

何もかも雑炊としてあたたかく<o:p></o:p>

身も凍る寒さでしょう、夕餉の残りを掻き集め、屑野菜も拾い集めました。凍える指先に息を吹きかけます。土鍋にどうやら八分目は具らしきものが入りました。僅かに御飯粒も覗いております。得度して報謝を受ける身にとっては贅沢な食卓となりました。芯から体が温まってきました。部屋の中も温もってきました。<o:p></o:p>

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病みほほけて信濃より帰庵<o:p></o:p>

草や木や生きて戻って茂つてゐる<o:p></o:p>

長い行乞の旅でした。辿り着いた信濃の地で体を壊してしまいます。酒毒が体を蝕んでいたのでしょうか。欲も得もなくと言いますが、痩せ細った山頭火は、必死に草庵に安住を求めました。自然は彼を裏切りません、やさしく緑の枝葉を一杯に広げて迎えてくれました。<o:p></o:p>

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病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉<o:p></o:p>

草庵の一間で一人仰臥しています。病んだ体が徐々に恢復していきました。一日一日力がついてきて、窓辺の青葉もしっかりと声をかけてくれるように、青々と朝陽に光ります。<o:p></o:p>

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柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる<o:p></o:p>

すっかりと病から恢復し、どうやら体力も十分に元に戻った山頭火です。天気も祝うかのように朝から好天気。抜けるような青空から射す陽が、柿の若葉をきらきらとそよがせています。そんな遠く近くの光景を眺めて主人公、思わず首筋を撫でます。「よくも死なずにいたものよ」。<o:p></o:p>

にんまりといったところでしょうか。<o:p></o:p>