うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 二十

2009-08-17 05:20:32 | 日記

酔へなくなつたみじめさはこほろぎがなく<o:p></o:p>

山頭火は虫のいろいろを句の題材に使います。草庵の庭先にしろ、旅の途次の草叢にしろ、一斉に鳴きだすこほろぎも例外ではありません。<o:p></o:p>

今夜の山頭火は異常です、酒が一向に進みません。昨夜の飲みすぎが体に祟っているのか、酒好きの口に盃を運べぬ惨めさは一入です。そんな山頭火をこほろぎが嗤うでなく、慰めるように励ますように鳴き出しました。<o:p></o:p>

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はだかではだかの子にたたかれてゐる<o:p></o:p>

喜捨を願って軒先に立ちます。破れ障子の向こうで、子供が大声で何かねだって泣いています。裸の体を汗まみれにして、父親の背中を叩きながら泣き続けています。叩かれる父親も裸です。父親の目はやさしく笑みさえ浮かべております。子供の願いを承知するのはもう直ぐのようです。<o:p></o:p>

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ほんとによかつた夕立の水音がそこここ<o:p></o:p>

実感がこもっています。山頭火いつも農民の日常に想いを馳せております。特に稲作の出来具合にあれこれ心配です。ここ稲の成長期というのに連日の日照りがつづいています。田圃の土に地割れが走って、行き交う農夫たちの眉間にも険しい皺が走っているのです。それが一転空が俄かにかき曇りといったところです。そこここの田畑に水が溢れます。<o:p></o:p>

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月夜、あるだけの米をとぐ<o:p></o:p>

男の独り住まいの夜は何かとわびしいもの、まして煌々とした月夜に、夕餉の支度は端から見てもふと哀れさが滲んでまいります。それに底に米粒が並んで見えるような、微量の米をとぐのです。<o:p></o:p>