☆自覚すれば、醜悪にたえないような自分を見出すことはあまりにあさましい。自分のよさをも自覚しなければ嘘だ。人には誰でも良さがあるあらなければならない。<o:p></o:p>
☆同一の過失を繰り返すことが情けない。酔わなければしないこと、したくないことを酔ってるさ中に敢えてするから嫌になる。自己統制を失うのである。酒に即して自己を批判すれば、酒を飲んでいるうちに酒に飲まれるのが悲しいのである。<o:p></o:p>
十月十日 曇、やっぱり雨。ゆっくり朝寝、朝も昼も梅茶。食べたくても食べる物がないとあり、小生思わず絶句。<o:p></o:p>
午後は近在行乞とあります。五時間ばかり嘉川方面を托鉢して、お米一升七合頂戴します。夕食まことに美味しくありがたかったと。それはそうでしょうに、それに言うことがまたあっけらかんであります。「行乞はありがたい、私の身心を安らかにする。」<o:p></o:p>
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ことしもここに石蕗の花も私も<o:p></o:p>
蕎麦の花も里ちかい下りとなつた<o:p></o:p>
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十月十一日 雨、晴れて上天気になった。<o:p></o:p>
上水道水源地散歩の帰途、棄てられた野菜を拾ってきて塩漬け。そして一言「ああ、塩は安い、安すぎる。」<o:p></o:p>
十月十二日 晴、中秋、月はよかろう。<o:p></o:p>
今日の山頭火、いささか欝に支配されています。身心の不調を嘆くのはいいとして、何となく死期が遠くないような気がするとは穏やかではありません。おまけに御飯の出来がよろしくない、米自体も良くないが自分自身の気分も良くないからと投げ捨てです。<o:p></o:p>
月はよかったが、酒のないのが、話し相手のないのが物足らなかったと呟きます。それはそれでいいのですが、不調の原因が酒不足となればこれまた心配の種であります。<o:p></o:p>
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水はたたへて山山の御影がまさに秋 <o:p></o:p>