誰か来そうな空が曇つてゐる枇杷の花<o:p></o:p>
草庵で一人、なにかと人が恋しい空模様、曇天の空に辺りは薄暗く、枇杷の花がひと際鮮やに咲いています。こんな日は誰か来そうな気がしてなりません。一献傾ける、あるいは俳句の話相手がたまらなく欲しいのです。<o:p></o:p>
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ぬくい日の、まだ食べるものはある<o:p></o:p>
台所が火の車といったところですが、今日は日ざしも温く、多少口にするものはあります。のんびりと日向ぼっこと参りますか。<o:p></o:p>
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雪ふる一人一人ゆく<o:p></o:p>
しんしんと雪が降り続きます。耳をすましても降る雪の音は聞こえません。浮き上がる墨絵の世界を行くのは山頭火一人。孤独に切り取られた其中庵が雪の中で物静かに佇みます。<o:p></o:p>
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夜、手土産は米だつたか ある友に<o:p></o:p>
夕餉のあとの手持ち無沙の一時、友人が訪ねてきました。おそらく俳談に花が咲いたと思われます。そして手土産はお米です。餓えを凌ぐありがたい友の配慮といえますが、山頭火の真意は?一升瓶を期待したものと推察します。<o:p></o:p>
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いちりん挿の椿いちりん<o:p></o:p>
机の上に置かれた一輪挿し共々、椿が一輪胸を張っているようです。<o:p></o:p>
山頭火、目を細め穏やかな表情で見詰めております。胸中にしみじみと勇気を注入されていくようです。<o:p></o:p>