うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の世界 二十二

2009-08-19 04:39:58 | 日記

ぽきりと折れて竹が竹のなか<o:p></o:p>

実際にそんな光景を見たりしたことはありませんが、雪が降りしきる厳寒の日など、積もる雪の重みで地べたに這いつくばる竹が、それに耐えかねて、割れて弾ける音が竹林に響き渡ると聞きます。<o:p></o:p>

無残に折れた竹、その竹を雪の重みに耐えている仲間の竹が痛々しそうに見守ります。<o:p></o:p>

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とぼしいくらしの屋根の雪とけてしたたる<o:p></o:p>

貧しい農家の軒先に立っている山頭火です。懸命に喜捨を願って読経を続けます。一目で分かる極貧の暮らしぶりが、手に取るように分かります。いつしかそこの家族の安泰を願って念仏に熱がこもっていきました。藁葺き屋根の雪がとけて落ち、法衣の肩を濡らすのをものともしません。<o:p></o:p>

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ことしもこんやぎりのみぞれとなつた<o:p></o:p>

今年も今日が最後の一日となりました。別にこれといった感慨も湧いてまいりません。あさから止む気配もなく雪が降り続きます。窓の外を見やれば、雪はいつしか霙に変わったようです。この分だと元旦は雨の一日になりそうです。<o:p></o:p>

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なんといふ空がなごやかな柚子の二つ三つ<o:p></o:p>

抜けるような青空が広がっています。爽やか空気が蔓延しています。久しぶりの和やかな、気持のよい街道を行きます。そんな悠然とした気分にさせるのも、広がる青空の故だけではありませんでした。<o:p></o:p>

道筋に繁る柚子の木に生る柚子の実が二つ三つ、思わず鼻うごめかさずにはいられぬ色合いです。空の色にマッチして山頭火の詩心を刺激していきます。<o:p></o:p>