うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その117

2008-10-31 05:25:58 | 日記

 旅の法衣に蟻が一匹<o:p></o:p>

 まッはだかを太陽にのぞかれる (野風呂)<o:p></o:p>

 旅やけの手のさきまで酒がめぐった<o:p></o:p>

 梅干、病めば長い長い旅<o:p></o:p>

 こゝに住みたい水を飲んで去る<o:p></o:p>

 あすもあたゝかう歩かせる星が出てゐる<o:p></o:p>

 ふんどしは洗へるぬくいせゝらぎがあり (木賃宿)<o:p></o:p>

 春夜のふとんから大きな足だ<o:p></o:p>

 枯草の風景に身を投げ入れる<o:p></o:p>

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 四月六日 晴れたり曇ったり、おまけに風が吹いて肌寒く、腹具合も悪く従って痔が良くないと四面楚歌の状態です。「歩行も行乞もやれないのを、むりにこゝまで来た、行程わずかに二里、行乞一時間あまり、今福町、山代屋。」旅に病む悲惨さが伝わってきます。その心情はいかにと推測するに余りあります。<o:p></o:p>

☆死! 死を考えるとどきりとせずにはいられない、生をあきらめ死をあきらめていないからだ、本当の安心が出来ていないからだ。何のための出離ぞ、何のための行脚ぞ、あゝ!<o:p></o:p>

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 旅もをはりの、酒もにがくなつた<o:p></o:p>

 病んで寝てゐる家鴨がさわがしい宿<o:p></o:p>

 忘れようとするその顔の泣いてゐる<o:p></o:p>

 さみしさ、あつい湯にはいる<o:p></o:p>

 食べるだけ食べてひとりの箸をおく<o:p></o:p>

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 この宿は飲食店だけでは経営が成り立たぬらしく、安宿を始めたものと観察します。一杯五銭のうどんで腹を温めて、久しぶりのうどんで美味しかったと満足気です。<o:p></o:p>

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 どこかで頭のなかで鴉がなく

うたのすけの日常 今朝も五七五で

2008-10-30 05:52:33 | 川柳

今朝も川柳といきます<o:p></o:p>

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   目の前の 政権消えて 地団太踏み<o:p></o:p>

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   それはない 大目に見たのに 居座って<o:p></o:p>

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   今更に 慎重審議は いかさない<o:p></o:p>

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   作戦の 急遽変更の お粗末さ<o:p></o:p>

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   政権の 目論見憐れ 尻すぼみ<o:p></o:p>

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   居座りに それはないよと 大むくれ<o:p></o:p>

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   参院の ねじれが奥の手 覗かして<o:p></o:p>

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金融の 悪化が追い風 息をつく<o:p></o:p>

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   不景気の 風にあおられ 慌ててる<o:p></o:p>

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   不況風 逆手に取って 自民党<o:p></o:p>

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   現金や 金券ばらまき 人気取り<o:p></o:p>

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不況風 逆風となった 民主党<o:p></o:p>

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   不況風 まともに受けるは 庶民なり<o:p></o:p>

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   不況風 盾になるのが 政治なり<o:p></o:p>


うたのすけの日常 ちょっと五七五で遊びます

2008-10-29 04:58:37 | 川柳

早々と目が覚めて<o:p></o:p>

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   医療齟齬 政治のミスが 根底に<o:p></o:p>

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   民衆の 声に冷ややか 永田町<o:p></o:p>

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   総理の座 ホテルのバーに 似てそうな<o:p></o:p>

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   総理の座 居心地よしか 手離さず<o:p></o:p>

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   聞き分けず 玩具離さぬ 餓鬼のよう<o:p></o:p>

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   陽が落ちる もうブランコから 降りなさい<o:p></o:p>

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   国民は 母の気持で 諭すべき<o:p></o:p>

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   呆れます すべて総理の 胸三寸<o:p></o:p>

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   驚愕す その権力の 強大さ<o:p></o:p>

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   国民の 人気を計って 任期まで<o:p></o:p>

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   国民の 動静睨んで 蟻地獄<o:p></o:p>

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への字とは 趣き違う 喋りよう<o:p></o:p>

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   あの喋り 最近いささか 食傷気味<o:p></o:p>

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   ここへ来て いやに政治に 重きおき<o:p></o:p>

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   今更に 政治重視は 白けます<o:p></o:p>

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   懐かしい 総理ソーリの 紅い声<o:p></o:p>

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   民衆の 信任問えは 神の声<o:p></o:p>

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   十重二十重 国会囲む デモの夢 <o:p></o:p>

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   アメリカに あって日本に ない選挙<o:p></o:p>


うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その116

2008-10-28 05:24:39 | 日記

 笠へぽつとり椿だつた<o:p></o:p>

 はなれて水音の薊いちりん<o:p></o:p>

 石をまつり緋桃白桃<o:p></o:p>

 みんな芽ぶいた空へあゆむ<o:p></o:p>

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四月五日 花曇がだんだん晴れてくるも、心も重く足も重い。やっと二里ほど歩いて二時間ばかり行乞し、少し早いが松原の一軒家に泊まります。屋号も松原屋、まだ電灯も引かれていないが、野趣たっぷりで親しみがあると言います。<o:p></o:p>

自省の一句か、自嘲の一句か<o:p></o:p>

 もう飲むまいカタミの酒杯を撫でてゐる<o:p></o:p>

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☆今日歩いて日本の風景、春はやっぱり美しすぎると感じた。木の芽も花も、空も海も。……<o:p></o:p>

 風呂が沸いたというので、一番風呂に入ります。この風呂小川のそばにあり、杭を五六本打ち込んでその間に長州釜を挟んであり、筵を蓋代わりにかぶせてある、まったくの野風呂と感心してます。「空の下で湯の中にをる感じ、なかなかよかつた、はいらうと思つたつてめつたにはいれい一浴だつた。」<o:p></o:p>

 腹の調子は以前と悪く、しぼり腹を持ち歩いているようだと嘆き、二三日断食絶酒していれば直るのだが、それがなかなか出来ないと絶句です。<o:p></o:p>

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☆人間落ちるには三種ある。一はナゲヤリ(捨鉢気分)二はアキラメ(消極的安心)三にサトリ(自性徹見)である。 <o:p></o:p>

☆世間師には、ただ食べて寝るだけの人生しかない!<o:p></o:p>

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岩を掘り下げる音の春日影<o:p></o:p>

 植ゑられてもう芽ぐんでゐる<o:p></o:p>

 明日はひらかう桜もある宿です<o:p></o:p>

 酒がやめられない木の芽草の芽 

うたのすけの日常 後期高齢者の日めくり その三十

2008-10-27 13:16:03 | 日記

<st1:MSNCTYST AddressList="12:千葉県松戸市;" Address="松戸市" w:st="on">松戸市</st1:MSNCTYST>民劇団のお芝居を観に行ってきました<o:p></o:p>

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 10月26日(日)<o:p></o:p>

玄関を出ると微かな雨が落ちています。俗に言うところの邪魔な雨です。<o:p></o:p>

玄関にとって返して傘をとります。取りあえずは杖代わりにと、携帯の傘は嫌いなのです。開くときの小手業が苦手ときているので、よほどのことでなければ持参しません。<o:p></o:p>

 列車は遅れもなく発車して予定通りの時間に松戸に到着します。十時劇場ではリハーサルが始まっていました。ロビーではスタッフが受付その他の準備に余念がありません。一息入れて場内に入りしばし写真を撮りながら芝居を観ます。<o:p></o:p>

 今回の公演は盛だくさんといいますか、いろんな演目が並びます。題して「松戸の丘に与謝野晶子を探して」最初に歌集「瑠璃光」60首朗読パホォーマンスで、朗読集団「瑠璃の会」の会員さんに劇団員数人が加わっての、晶子の短歌朗読といったところです。次に国務大臣・与謝野馨氏に祖母晶子について語って頂きます。国務大臣のお出ましとあって劇場内外の警備が大ごとでありました。 SPの面々みな体格もよく、揃ってイケメン揃いなのにはびっくりです。大臣のお話はなにしろ観客の入りは大変なものでして、入り込んで聴くことが出来ません。ロビーのモニターに耳を傾けましたが、今一つ聴きとれず残念といったところでした。ところが観客の反応がよろしいのか、はたまた満員の場内に大臣満足されたのか、時間が大幅に伸びて最終的には40分の押しとなって、劇団側は嬉しい悲鳴を上げます。<o:p></o:p>

 最後は座長の講談を挟んで晶子が書いた戯曲「第三者」の上演で終演となりました。さてその後は急ピッチで撤退の作業がくりひろげられます。老体の出番はありません。もう何年も現場を離れておりますので、足手まといになるのがせいぜいです。<o:p></o:p>

 打ち上げは、一次二次とありました。二次で帰りましたのでその後いかなる様相を呈したかは、現在のところ明らかではありません。<o:p></o:p>

 あたしは若い団員たちに「まるでは打ち上げやるために水戸から出て来たみたいだね」と笑いかけますが、あたしが居るだけでなにかと安心と嬉しいことを言ってくれます。そんな団員たちと会話や、なつかしいお客さんたちと再会して挨拶を交わすのが、なによりの喜びでありました。

  

  劇場前です

  

  瑠璃の会による歌集「瑠璃光」の朗読

  打ち上げ会場 


うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その115

2008-10-27 08:11:25 | 日記

 四月二日 腹痛と下痢で一日床に臥す。とあります。AprilFool! 昨日もそうらしいが今日もそうらしい、恐らく明日もと御機嫌斜めです。「マコト、ソラゴト、コキマゼテ、人生の団子をこしらへるのか!<o:p></o:p>

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四月三日 相変わらず腹具合がよくありません。しかし世間師を自称する山頭火は寝てばかりは許されません。行乞三時間、お布施は満点に近くこれは絞り腹のおかげ、不健康の賜物と自賛です。「昨日も今日もノン アルコール デー、さびしいではありませんか、お察しもうします」とはやけくそにもとれますね。空模様もまた雨です。「また雨、ふるならふりやがれ! 晴れて寝て、曇つて歩く、善哉々々。」<o:p></o:p>

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 ふるさと遠い雨の音がする<o:p></o:p>

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☆酒代は惜しくないけれど酒は惜しい、物そのものを愛する、酒呑心理。<o:p></o:p>

☆これだけの労働、これだけの報酬。<o:p></o:p>

☆人間はあまり達者だと横着になる。<o:p></o:p>

☆ときとして感じる、日本の風景は余り美しすぎる。<o:p></o:p>

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 四月四日 雨、曇、晴、行程三里、御厨、とうふや。<o:p></o:p>

腹具合は悪かったが行乞相はよかったと言います。宿はよいのだが電気代を惜しむのが玉にキズ、これはメートルのせいと言いますから、定額制ではなくメーターが導入され始めたということでしょうか。<o:p></o:p>

 夜はゆっくりと飲むとあります。新酒を買ってきて酔っ払います。一合銅貨九銭の追加が酔線を突破させたと笑わしてくれます。おかげグッスリ眠れた、昨夜の分も取り返したとさっぱりした面持ちです。<o:p></o:p>

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 草餅のふるさとの香をいただく<o:p></o:p>

 休み石、それをめぐつて草萌える<o:p></o:p>

 よい湯からよい月へ出た<o:p></o:p>

 はや芽ぶく樹で啼いてゐる

うたのすけの日常 宝籤殺人事件から

2008-10-26 03:59:51 | 落書き

二億円ってどのくらい?<o:p></o:p>

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 賑やかなことです。ここ二三日新聞テレビは大賑わいです。人一人死んでいるのにお構いなしで二億円の大金が何をもたらしたのか、その経緯で人々の耳目はテレビに釘付けです。そうでもありませんか。とにかく語呂がいい、二億円宝籤殺人事件と推理小説も真っ青といったところです。いずれにしても目下のところ、分別をわきまえた中年男女が金銭絡みでどろどろの人生模様を描いて破局。女は殺され男は逃亡生活の果て逮捕といった図式です。まあこの先紆余曲折はあるとは思いますが。<o:p></o:p>

 なまじ宝籤に当たったために殺されてしまった女性、お気の毒と言いますか、哀れの一言では済まされぬ皮肉と運命を感じさせます。男と知り会わなければ、別の人生が用意されていたかも知れないのです。ゴマンといる男の中からよりによって、最低非情極悪の男と巡り会ってしまったのが身の不運としかいい様がありません。今更言っても詮無きことですが宝籤に、それも高額の賞金に当たらなければ、平凡でも穏やかな道を行くことができたかも知れないのです。人生無情であります。合掌。<o:p></o:p>

尤も人も色々ですから一世一代明日に死んでもいいから、大金を掴んで一瞬の栄耀栄華を味わいたいなんてお人も居られるかも。しかしそういった方には不思議とそうした運は廻って来ないというのが世の習いであります。<o:p></o:p>

 閑話休題(それはさておき)二億円の金とはいかほどのものなのか、一寸把握するのは小生の想像力では困難であります。大金であることは間違いないのですが、それをはたして手にした時どうなるのか己はと、考えてみました。どうせ暇を持て余している年寄りです、暇つぶしに何だかんだと想を巡らしてみました。<o:p></o:p>

先ずどれほどの使いでがあるのか、電卓を用意して始めます。二億円の札束が山を成しています。一日1万円の小遣いとします。あたしなりの庶民感覚としてはこれが精一杯ですが、ひと月で30万円、一年で360万円、十年で3600万円、そうすると五十年で1億8千万円、まだ2千万円残ります。だんだん馬鹿馬鹿しくなってまいりました。あと五十年なんて生きられる道理はありません。それでは倍の2万円使ったとしても二十五年掛かります。百歳を過ぎます、アホらしくなってまいりました。<o:p></o:p>

 それでは札束抱えて連日豪遊に明け暮れようと意を決します。ダメです。平均的な世の男性がするように?美女をはべらし鼻毛を伸ばす。イケマセン、すでに男の耐用年数はとうに切れていて、久米の仙人並に血迷う程度です。<o:p></o:p>

では山海の珍味と参ろうとしますが、近ごろ歯の傷み激しく、おまけに食欲とみに衰えている惨状です。それでは東へ西へと旅行に明け暮れよう、それもなりません。常に排尿の心配で気が休まらず、行った先々でトイレ探しではどうしようもありません。若い頃飲んだ酒もとんと弱くなり、一二杯で足元が怪しくなるのが現状です。情けありませんが以上があたしの現実となれば、結論は知れたもの、金は、余分な金は要らぬということであります。<o:p></o:p>

 起きて半畳寝て一畳、それで十分。気楽がこの齢になりますと一番であります。<o:p></o:p>


うたのすけの日常 振り込め詐欺に思う

2008-10-25 05:59:47 | 一言

多発する振り込め詐欺<o:p></o:p>

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 警察も銀行も余りの被害の厖大さに本腰を上げたようです。今月はその被害撲滅月間とかでいろいろ各地で対策が練られ、その一部始終がニュースになりました。しかしその効果はいまひとつで、被害を食い止めることは出来なかったようです。俗にいたちごっこと言われますが、相手は対策を立てればそのウラをかき、新ネタの詐欺を働く偏頭脳集団というわけです。個人個人が詐欺に強くなるしか方法はないようです。といっても被害に遭った人(主として中高年、それもご婦人)のお話を聞くと自分だけはそんな被害には遭わない思っていたと、一応は皆さんおっしゃる。それなりに振り込め詐欺が横行していることも存じているし、その手口にも通じておられるのです。それなのにというわけで、小生首を傾げざるを得ません。<o:p></o:p>

 というのも手口としては、孫や子供或いは夫を粧うった電話で会社の金を横領したのが発覚したとか、交通事故を起こしたとか、電車内で痴漢行為を働いた等々の後始末といった古典的なものから、還付金詐欺とかの新しい手口が後を絶たないわけです。還付金詐欺はともかく大方は事を穏便に済ます、金で済めば御の字といった気配が濃厚に働き、それが被害に直結してしまうのが、あらかたのパターンであるような気がするわけです。百万二百万、一千万二千万といった大金がいとも簡単に、無造作に詐欺集団の懐に振り込まれてしまうのです。<o:p></o:p>

 老後の蓄えを一挙に失って、悲嘆にくれる方がおられる事も事実でしょう。しかしあるとこにはあるものだといった驚きもあります。それは犯人の言うままに何回にも亘って、それも百万単位の大金を次々と振り込むといった記事を目にすれば、だれもが驚きかつ唖然とするのは当たり前の事と思います。反面勃発したのが今回の後期高齢者の、僅かな年金から保険料天引きの騒動です。それに不満をぶちまける中高年の方がおるわけで、振り込め詐欺に遭われるお中高年者の存在とは、かなりかけ離れた立場に置かれていて、ここにも格差社会が現実に存在するといった事実に渇目せざるを得ません。<o:p></o:p>

被害に遭われた方が揃って裕福な、お金持ちのお年寄りと決め付けているわけでは毛頭ありませんが、いささか世の中の矛盾を感じずにはいられないわけです。なにしろ年間数百億円の大金が右から左へ移動していくのですから。<o:p></o:p>

 そこに幾ばくかの経済効果が生まれるとおっしゃる御仁が居られるなら、何おか言わんやであります。<o:p></o:p>


うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その114

2008-10-24 05:22:11 | 日記

☆悪女の深情けという語句があるが私には関係ない、私には悪酒の深酒だ。<o:p></o:p>

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 さくらが咲いて旅人である<o:p></o:p>

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三月三十一日 晴、行程八里 平戸町、木村屋。日本百景九十九島、田平から平戸へ。「山も海も美しい、ちんまりとまとまつてソツがない、典型的日本風景の一つだらう。」当地は爆弾三勇士の一人、作江伍長の出生地だそうで、昨日日本葬が執行されたと感慨深気です。<o:p></o:p>

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☆私は今日まで、ほんとうに愛したことがない、随ってほんとうに憎んだこともない、いいかえればまだほんとうに生活したことがないのだ。<o:p></o:p>

☆私は子供を好かない。子供に対しては何よりも「うるさい」と感じる。自分の子すら可愛がることの出来ない私が、他人の子を嫌ったところで無理もなかろう。<o:p></o:p>

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 春寒い島から島へ渡される<o:p></o:p>

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 四月一日 晴、まつたく春、滞在、よい宿と思ふ。結構なことであります。月の初めだからでしょうか、気合いを入れます。「生活を一新せよ、いや、生活気分を一新せよ。」<o:p></o:p>

 朝大きな蚤に逃げられ、もう虱のシーズンは去り、蚤のシーズンかと季節の移ろいにも切実さがあります。九時から二時まで行乞、平戸の人心の美しさを褒めますが蛇足を付けています。「平戸ガールのサービスがよいかわるいかは知らない、また知らうとも思はない」この平戸ガール云々なる科白は曲者であります。御機嫌で港小唄でも作りたい気分になりますが、その気分はすぐに破られてしまいます。行乞中運悪く二度まで巡査に咎められます。<o:p></o:p>

 そこで一句と胸を張る山頭火でした。<o:p></o:p>

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 巡査が威張る春風が吹く

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その113

2008-10-23 04:24:02 | 日記

 三月二十八日 昼近くまで寝ていましたが三時間ほど市街を行乞します。乞食坊主が行乞しないのは一種の堕落と奮起するのです。そして今日一日だけの生存費は稼いだ、勿体無いことと手を合わすといったところです。「壮健な男一匹が朝から晩まで働き通して八十銭位しか与へられないではないか(日雇い人足)、私は仏陀の慈蔭、終世の衆生の恩恵に感謝せずにはゐられないのである(これを具体的にいへば袈裟のおかげである。)」<o:p></o:p>

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 三月二十九日 からりと晴れてゐる、まだ腹具合はよくないがいよいよ出立した、停滞するなかれ、行程三里、相ノ浦、川添屋と書き出します。<o:p></o:p>

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 物乞ふとシクラメンのうつくしいこと<o:p></o:p>

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 町内規約に依り押売・物貰・寄付一切御断りといふ赤札が目にはいります。門付けも物貰いの範疇にはいるようですが、世間師同様山頭火は意に介することはありません。その晩は腹の具合も完治したのでしょうか、飲みすぎます。地球が回転し、自分も回転、それも急速度でと言います。踊った、歌った、そして消滅してしまったと。この醜態が貨幣価値に換算すると五十五銭也、割りと冷静です。その挙句が酔い覚めの夢を見ます。「息づまるほど悲しい夢だつた、ああ生まれたものは死ぬる、形あるものはくづれる、逢へば別れなければならない、しかし、ああ、それは悲しいことである。」 翌日は二日酔いで滞在休養とあります。この勝手、「旅なればこそ、独身なればこそである、ありがたくもあり、ありがたくもない。」と煙に巻きます。昨夜のことについてなかなか穿った解説をしています。即ち自分のことを客観的に観察しております。「昨夜は酔うたけれど脱線はしなかつた、脱線料がないからでもあつたらうが、多少心得がよくなつたからであらう、(脱線してはならないのを、いひかえれば、脱線することが出来ないのを脱線するのが、脱線の脱線たるところだ)」と。<o:p></o:p>

 朝の山路で何やら咲いてゐる  <o:p></o:p>