自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

第12回牛豚等疾病小委員会

2013-04-05 22:43:16 | 委員会

第12回牛豚等疾病小委員会 平成22年5月6日(11:00~13:00)  
一部公開議事メモ  概要  委員名簿 
参考: 発生事例の現地調査

 牛豚等疾病小委員会の第4回から第19回までは『議事録』を公開していないが、食料・農業・農村政策審議会議事規則によれば『議事要旨』を公開しなければならない。しかし、農水省はこれを無視した議事規則違反を続けてきた。これに対して、牛豚等疾病小委員会の第10回から第15回までの議事録公開請求(平成22年9月14日)により、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成22年10月18日)で黒塗りの議事録(第12回については議事メモ)が開示された。これに対する異議申し立て(平成22年12月17日)に対しても、行政文書開示決定通知書(農林水産大臣,平成24年5月21日)で議事録の一部を開示するとしながら、議事要旨さえ分からない黒塗りにした変わり映えのしない議事録が再度開示されたのみであった。

ことに第12回議事録については黒塗りの『議事メモ』が開示されたが、これは2011年4月22日に放送されたNHK報道番組「特報フロンティア なぜ”SOS”はとどかなかったのか」では『メモ』とされて1ページが公開されている。このように行政が議事規則を無視し、一方では報道機関に公開し(NHK解説委員が家畜衛生部会の委員)、一方では民間からの再度の情報公開請求しても黒塗りの情報開示で済ますことが、法的に許されるのであろうか。しかも、公文書の公開に際して、議事録を『議事メモ』に変更するのも公文書偽造ではなかろうか。

1.NHKで報道された『メモ』(発言者は開示された『議事メモ』による)

第12回 牛豚等疾病小委員会 メモ  (1ページ目の映像から)
場所:本館4階 第2特別会議室
日時:平成22年5月6日(木)11:00~13:00

伏見調整官 ただいまより牛豚等疾病小委員会を始める。本日の会議は非公開とする。田原委員長に進行をお願いしたい。
田原委員長 それでは議事に入る。事務局より発生状況、防疫対策についてご説明いただき、ご意見ご検討をいただきたい。議事(1)宮崎県における口蹄疫の現状及び防疫対策についてご説明をお願いしたい。
山本補佐 (資料1を用いて説明。豚での発生が増加していること、小規模農場であれば、作業動線により近い房で初発している傾向が認められるが、大規模農場では必ずしもその傾向は認められないことに言及。)
伏見調整官 津田委員に、資料2-1(疫学チーム現地調査風景)と3-1(口蹄疫ウイルス日本分離株)についてご説明願いたい。
津田委員 資料2-1は4月29日に行った現地調査の写真である。防疫措置が完了した1例目のみを調査した。この農場は他の農場から離れた場所にあり、農場に通じる道は大型車両が入れない狭い道であり、周りを杉林と竹林に囲まれている。初発は出入口付近の牛舎で発生しており、牛舎の構造も甘いため、色々なものが接触してもおかしくない。聞き取りによると、飼料は、自車で購入に行っていたとのことで、飼料配送車による汚染ではないと考える。この発生が初発なのか続発なのかを確認するためには、さらに細かく情報を集め、発症例を時系列に結んで整理する必要がある。
 つづいて資料3-1であるが、今回の発生は1、2例目のウイルスはどちらも、変異が激しい領域であるVP1遺伝子の塩基配列が一致した。トポタイプはSEA(東南アジア)、遺伝子型はMya-98(ミャンマー98)であり、宮崎県で2000年に発生した際のタイプとは異なる。今回のウイルスは、2010年に香港で分離されているO型ウイルスに近縁であり、同じグループに現在、香港、韓国で分離されたウイルスが含まれる。
 現在国内に備蓄されているワクチンは今回分離されたウイルスと近縁であり、中和試験の結果からも、国内備蓄ワクチンは今回の発生に使うことは可能と考える。

2.ワクチン接種が遅れた理由(川島動物衛生課長の説明)

 NHK報道番組では、備蓄ワクチンが有効であったのに、なぜワクチン接種を急がなかったのか、川島動物衛生課長にインタビューしている。報道には議事要旨の一部を開示し、インタビューにも応じられる内容を、なぜ情報公開請求されても開示しなかったのか。
 情報公開・個人情報保護審査会答申データベース検索で、開示請求をチェックして「家畜衛生部会牛豚等疾病小委員会議事録の一部開示決定に関する件」の用語を入力して検索すると答申を読むことができるが、第12回牛豚等疾病小委員会の『議事メモ』を議事録として扱っていることや、非開示と開示指示の根拠が曖昧であり、農水省の意向が強く反映された答申となっている。

3.概要で公開されなかった重要審議事項

 第12回牛豚等疾病小委員会が開催された5月6日の前日までには、牛10例と豚13例の23農場に口蹄疫が発生し、ことに豚への感染が拡大していることが確認されている。一部報道されたメモによると、備蓄ワクチンが有効であると報告されていることや、ワクチン接種はすでに遅すぎる防疫措置であるにもかかわらず、概要にはワクチン接種については何も示されていない。
 また、感染拡大阻止のためには徹底的な感染源及び感染経路の究明を進めるべきであるが、感染源として中国産稲わらではなく、人やものによるウイルス伝播を念頭にすべきとし、半径3 km 以内の牛飼養農場全戸を対象とした血清学的検査についても移動制限区域の解除に際して実施すべきとしている。
 移動制限区域の解除に際して抗体検査を実施するのはOIEのルールとして当然のことであるが、今回は移動制限解除後に清浄化確認の血清学的検査を実施している。すなわち、感染拡大阻止のために最優先で実施しなければならない感染源及び感染経路の究明のための血清学的検査を否定するような概要であるが、このように5月6日に至ってもなお、感染拡大阻止を優先した防疫措置についての審議がなされていないとしたら、何を優先にした防疫措置の検討をしたのかが問われる。隠ぺいが必要な議事録なので、議事要旨を黒塗りにして『議事メモ』として開示したのであろうか。
 その後、半径10km以内の移動制限区域内の牛と豚で感染していないとみなされた全頭はワクチン接種して殺処分しているので、第11回牛豚等疾病小委員会で指摘された大規模系列農場を含めて、感染源及び感染経路の究明を目的とした疫学的血清検査(抗体検査とPCR検査)は実施しなかったことになる。すなわち、感染源である中国産稲わらと大規模系列農場は国により意図的に隠ぺいされたと言われても仕方がなかろう。

初稿 2013.4.5 更新1 2013.4.8 更新2 2014.10.23


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