自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

悪魔の兵器~科学は論理的だが、人間は感情的だ。

2018-09-14 15:20:05 | 自然と人為

 1938年、ドイツの科学者オットー・ハーンとフリッツ・シュトラスマンのウラニウムの核分裂反応の報告がされた。ドイツは核物理学研究の世界の先端にあり、優秀な研究者も多くいた。
 第2次大戦中、ドイツの原爆開発を恐れてアメリカでは3兆円の予算で原爆の開発をし、それを広島、長崎に投下した。

 "悪魔の兵器"はこうして誕生した~原爆 科学者たちの心の闇
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 欲望の時代の哲学 動画





 ナチスドイツではユダヤ人の大量虐殺が始まっていた。アメリカに亡命した物理学者レオ・シラード(2)はドイツが原爆を開発したら世界は大変なことになる、と必死で政府に訴えた。大学の恩師アインシュタインにも協力を要請した。

オッペンハイマー   ヴァネヴァー・ブッシュ   レオ・シラード
 オッペンハイマーが原爆の父であることは知られているが、原爆開発に政府を動かしたレオ・シラードも含めるようだ。彼はドイツの原発開発を恐れたが、日本への投下に対しては反対したようだ。原爆実験成功後1か月も経たない日本への投下は、何故、誰が決めたのだろうか。

 もう一人の原爆の父、ヴァネヴァー・ブッシュは、科学者こそがアメリカ国家のトップとなるべきだと主張し、そのトップになろうとしていた男だそうだ。科学は文明を発達させもするが、破壊もする。戦争は破壊の象徴だ。科学は論理的であるが、科学者は感情的であり、トップを目指す場合は自己に克つより他者に勝つ思いが強くなる。競争があれば強い者になりたいというのは、人間の性かもしれない。しかし、そう言ってしまえば、ナチスの残虐な人種差別の誤りから、ドイツが戦後の憲法に掲げた「人間の尊厳」は、スポーツ界のパワハラ問題と本質は同じであり、いつまで経っても「人間の尊厳」を守ることが、世界の常識にはならないだろう。ただ、ヒットラーが核分裂の知識がなかったからか、すぐ使える兵器の開発に熱心だったことは、少なくとも人類の幸せではあった。科学者は与えられた問題の解決には有能だが、万能ではない。

 現在、「使えない核兵器」をアメリカは大量に保有し、北朝鮮には廃棄せよと迫っている。「使えない核兵器」を持つことに拘る北朝鮮も志が低いが、それを非難する核保有大国アメリカも横柄なものだ。この問題を科学者は解決できるだろうか? 哲学が解決するだろうか? 我々、権力に抵抗する万民が解決の力になるだろうか? 

 人間集団は生物の一員であり、集団は組織、国の一員として、経済や政治の力に影響されながら生きている。政治の力は権力と言われ、最も強大な権力は軍の支配である。軍を支配することで、軍需産業が栄え、国民を支配できる。組織においても組織が栄え、組織を支配する者は権力者と呼ばれる。しかし、組織の大きさによって、顔と顔が見える関係は変わり、組織によっては、それが自分たちにとって幸福かどうかで、組織に抵抗したり脱退できる。その判断は個人にある。国でも最終の判断は個人にあるが、個人の判断は、国の権力者を動かすまで、どうすれば大きくなるだろうか。また、人間と生物、生物と生物の関係は、誰が判断し、大切にするのだろう。

 オッペンハイマーは大恐慌の頃、組合運動に熱心だったという。社会の人々への関心と、科学者としての関心は違うのだろう。「兄は優秀であることが、特別に大事であった。」とオッペンハイマーと研究をともにした弟は言っている。研究所で教科書に出てくるような科学者と一緒に仕事ができたのは人生最高の幸せだったという研究者もいる。科学者にとって優秀であることは夢であり、それが科学研究のエネルギーとなるのだろう。
 有名な大学受験校が東大合格数を競うのも同じ現象だ。高校野球で有名になると、どこのプロ野球に行くのだろうと騒ぎだす。大学は何を学ぶ所なのだろう。人生の目標や人類の未来の夢はどこにあり、どこで育つのだろうか?

勉強しすぎると(知識からモノを見ようとすると)、自然は見えなくなる(動画)」斉藤晶さんの言葉は軽いようで、非常に重い。
 自然と社会を一人深く、深く心で見つめて、何故?と疑問を持つことから知は働き、真実が見えて来る。ただし、人間は生物の一員に過ぎないし、人間にとっても生物にとっても変えようのない絶対的真理は「地球は自転している」ことである。そして正しい情報を、いかに早く的確に見つけるかには勉強も必要である。

 最近、テレビのBSで台風上陸の報道をしていたが、ハリケーンと言うし、日本や中国大陸とも地図が違うようだ。フロリダが確認できたので、アメリカ東部の話だ。そういえば西部にハリケーン上陸の話は聞いたことがない。そこでネットで調べて、私の勉強のために簡単に報告させていただく。

 台風は、赤道から北緯(南緯)30度の熱帯の海上で発生する。この地帯を東から吹く風を貿易風(2)という。ここから北緯(南緯)70度までの地域では、偏西風が西から東に吹いている。最近、台風22号が発生し、日本への接近が心配されたが、貿易風で中国に向かっている。アメリカ西海岸ではハリケーンが発生しても貿易風が東から西に運んで遠ざけてくれる。また、アメリカのサンフランシスコと東京は緯度がほぼ同じで偏西風が吹いているが、カリフォルニア海流は北から南に向かって流れている寒流なので海水温が低く、台風にエネルギーを与えない。
 参考: 海の基本構造

 これが私の勉強の成果だが、皆さんで確かめて、誤りがあればご指摘ください。なお、偏西風は北緯30-60度に収まっていたが、現在は、「極点付近から時には赤道を越えて流れている。赤道直下の平地で雪が降るのはそのため」だ、そうだ。




           ロスアラモス国立研究所

初稿 2018.9.14 更新 2018.9.15



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