百菜健美☆こんぶ家族ラボ

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カレー

2020-11-06 | 昆布

これは多分大方の予想とは真逆で、日本のカレーには「具は肉・タマネギ・ジャガイモ・その他の野菜などであるべき」という食材に対する先入観がある中で「そこに後からルーと水を入れるだけで美味しく出来上がるべきである」というさらなる先入観に基づく制約があるからだと個人的には思います。つまり一言で言えば「日本のカレーは原則としてルーだけで美味しく出来上がらなければならない」からですね。

これは我が家の自家製北インド系カレーですが、使っているスパイスはホール9種類+パウダー3種類です(我が家の我流インドカレーレシピ - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ)。

一方こちらは我が家で最近ハマっている銀座ナイルレストラン3代目のレシピを参考にした南インド系ケララ風チキンカレーですが、こちらに至ってはスパイスはパウダー4種類+ホール3種類しか使っていません。

では何十種類ものスパイスを駆使したルーを使った日本のカレーと何が違うのかというと、スパイス以外で味を作るプロセスのバリエーションの広さだと思います。

即ち、北インド系ならホールスパイスを油で熱してきちんとスパイスの香りを油に移した上で微塵切りタマネギを炒めてしっかり香り高く甘いベースを作り、そこにすり下ろしニンニク&ショウガと刻み青唐辛子で揮発性の辛味のベースを作り、さらにホールトマトの旨味で酸味のベースを作り、最後にパウダースパイスと塩で全体の味のバランスを作る。

南インド系ならいきなりタマネギとニンニク・ショウガ・青唐辛子を一緒に炒めてベースを作り、そこにパウダースパイスを入れて全体の辛味以下の味のベースを加え、さらにトマトとタマリンドとココナッツミルクを加えて酸味と甘味の骨格を組み立て、具材を入れて軽く煮込んだら最後にテンパリング(ホールスパイスを熱した油ごと後から加える技法)で香りと追加の辛味をアドオンする、という感じです。

ちなみに、肉と魚のカレーとでは微妙にプロセスもスパイスのラインナップも変わります。例えば南インド系だと、肉の場合はタマリンドは弱めにして代わりにクローブやクミンなどをきかせることがありますが、魚の場合は逆にタマリンドは強めにしてフェンネルやフェネグリーク(メティ)で味を作ったりします。理由は簡単で、肉と魚とでは煮込んだ際に出てくる旨味の種類が違うからです(おそらくですが、具材から出てくる旨味を最大限に活かしたいので味の統一感を保つ意味でも肉や魚のカレーには他の野菜などの具材を加えないのではないかと思われます:もっともキーマアールーなど例外もありますが)。

……というインド料理のプロセスに比べると、日本のルーを使ったカレーはプロセス自体の数が少ない気がします(ただしルー自体を自作する高級店やルー以外にも数多くの工夫を凝らしているような店は除く:ここでは一般家庭のカレーを想定)。それはやはり「味自体はルーで決める」からだと思うんですよね。具材は油で炒めるのが関の山だし、頑張ってもタマネギを飴色になるまで深炒めする程度でしょう(北インド系のカレーだと一旦油で揚げてから引き揚げて、油はスパイスを熱するのに使い最後に揚げタマネギを合わせるという手法もあります)。そうなると「ルーをリッチにする」しか味を目に見えて向上させる方法はないのです。なので50種類ものスパイスとか使うことになるんじゃないでしょうか。それはそれで一つの方向性で、僕は良いと思います。

と言うのは、ぶっちゃけ50種類ものスパイスなんていかな僕のような自作カレーマニアでもイチから揃えようと思ったら大変ですから。我が家にあるスパイスのストックを見ても、全部で14種類しかないので。


なお全くの余談ですが、日テレ「鉄腕DASH」でオリジナルカレーを作る企画の際に「本場インドで使われていた『ヒング』が酷く癖のある匂いの割に入れると美味しくなったので、代用品としてイカの塩辛を入れる」という隠し味を披露していたのを見かけた時は、随分困惑したものです。

というのも、ヒングは植物の樹脂で常温ではトイレに何ヶ月も放置した雑巾のような悪臭がして「悪魔の糞」とまで揶揄される代物ですが、油で熱すると「悪臭をもたらす樹脂分が揮発して後から内部に隠れていた濃厚な焦がしニンニクのような旨味が代わりに出てくる」スパイスなんですよね。なので代用品が欲しければガーリックパウダーなどを使うのが正しいはずです。にもかかわらず、誰も指摘しなかったんだろうかという疑問を覚えたものでした……。

 

BY  https://jp.quora.com/topic/%E5%AF%BF%E5%8F%B8


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