夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

出会いの日々

2007-07-19 07:08:30 | つれづれなるままに
 いま「あうん」では3人の宿泊客が居る。一人は学生時代のサークルの後輩Tさん。もうひとりはあうんの回廊のペンキ塗りを買って出たしらとり農場で出会ったウーファーのゲッカル。そして同じく農場でともに開墾作業を行なったミス・ウインター。彼女は間もなく夏休みになる子ども達のケア要員として1ヶ月間確保したのだ。三重県からやって来たTさんは、自分の体調とこれからの生活設計も含めて、体験宿泊というところだろうか。当初は体力のなさを如実に現していたが、この2,3日はあうんの建物のガラス磨きを行なってくれて、ピカピカに輝いているのがTさんの自信にもつながっているようだ。このほか便所掃除なども積極的にチャレンジしてくれるので、あうんスタッフも大助かりだろう。ゲッカルは3日間で全てのペンキ塗りを終えて、きょうはディジュリドゥの演奏会をサービスしてくれて終了だ。また農場に戻って、22日には岩木山登山の予定らしい。私も誘われているのだが、果たしてそういう体力が残っているのか怪しい話だ。そう云えば青森に来て29年間にもなるのだが、自分の足では5合目までしか登っていないのだった。一度は正面から登りたいものだと思うのだが…。
 ミス・ウインターは20歳。このバイトを弘前ねぷたを見ることにも含めて楽しみにしていたらしい。茨城県出身の彼女は、これから北海道に渡り、また沖縄県を目指して南下して行くのだという。昨夜は弘前高等学校のねぷた運行があるので、スタッフが彼等を案内するといっていた。弘前ねぷた祭は間もなく8月1日から1週間弘前市内の夜空を焦がし、太鼓と囃子に誘われた扇ねぷたの錦絵が威風堂々と町並みを席巻するのだろう。
 ツタンカーメン豆は残り12個が収穫されれば、ようやく赤飯にありつけることになる。いたずら坊主の犠牲にならないで、良くここまで育ったものだと思う。ちなみに直ぐそばにあったミョウガ畑はすっかり荒らされて、葉が一枚しか残っていないのだった。
 このところスタッフの数名が病で倒れることが続いている。原因がわかれば治療の方法もあるのだろうが、それがわからないと不安が残る。若いメンバーはさすがに病気とは縁がなさそうだ。自閉症の児童の問題行動?に、翻弄され、悩んでいる。Tシャツを何枚も裂かれても、それは自らの非力さを恨むしかない。数日前にも送迎の際に添乗をした若い女性リーダーがTシャツに手をかけられて、びりびりに引きちぎられたらしくて、下着まで露出したくらいというからかなりの力だったのだろう。家族が謝罪のためにお詫びを持って来所したらしい。原因を聞くとそのS君が嫌いな声高の奇声を発する少年が同乗していて、かなり我慢していたらしいが結局切れてそれに及んだらしい。声なき声を我々福祉のプロを目指すスタッフは理解し、聞こえるようになることが求められているのだ。
 
 

軟白法

2007-07-19 06:12:01 | 岩木山麓 しらとり農場日記
 きょうは朝から曇りがちのスタート。気温は低めで肌寒かった。私はいつもは半袖姿が多いのだが、きょうはなんだか長袖になっていた。
 しらとり農場ではウーファーはアサヤン一人で、ウインターもゲッカルもあうんでバイトを行なっている。
 オーナーから、きょうは草刈だと言われて、稲刈り用の鎌と左手には軍手をつけた。稲刈り用の刃先は、のこぎり状になっているので、素手では作業中に怪我をすることが多いのだ。最初に向かったのはセロリの畑で、オーナーが「きょうは草を刈ってそれを野菜の周囲に敷き詰める「軟白法」を行います」といってそのやり方を示した。地表の土が草で覆われることによって乾燥を防ぎ、水を蓄えることや、やがてこの草が土に返ると酸素がたっぷりの豊かな土になるのだという。この農場に来てから本当に価値観が換わることが多かった。それはいままで草は邪魔な存在だと思っていたのが、野菜を健康に育てるためになくてはならないものになったからだろう。特に水分を必要とする野菜にとっては、草を引き抜くよりはこうして草を刈り取って根は残し、野菜の根の回りを中心に敷き詰めることによって、野菜の根の保湿性が良くなるのだ。だからしらとり農場では定植後よほどでない限り一切水をやらない。この話を聞いていて、草もノーマライゼーションも同じだと思った。存在するものに無駄なものが居ないという価値観でもある。「障害者を排除する社会は脆くて弱い社会」という考え方を思う時、この草も同じだよなあと思った。
 その後キュウリの根元に藁堆肥を敷き詰めて行った。藁の堆肥は土に直ぐ戻るし、こうして敷き詰めると肥料にもなり保湿性も補完できる。作業が終えた後昼食になったが、手を洗う時に藁堆肥の液でなんだか手がつるつるすべすべになっていた。
 お昼はズッキーニやナスなどの夏野菜の入ったりんごカレーだった。美味しくてお代わりをしてしまった。
 お昼休みにあうんの畑の様子を見に行った。生育状態は順調で良いのだが、ジャガイモ畑の土が肥えすぎていたのか、オーナーが言って居たように、茎が伸びすぎて左右に倒れかかっていた。
「土地が肥えすぎているんだろう。でもこのまま様子を見るしかない。光合成をこれからいつまで続けられるか。枯れ始めるとそこで、光合成は終わって、澱粉がうまく作れないであまり美味しくないジャガイモになる可能性もある」とオーナーが言った。
 今やあうんの畑はちょうど花が満開なのだ。かぼちゃもスッキーニも黄色い花が咲き、キュウリやズッキーニは大きく実を付け出していた。二度目に蒔いた「毛豆」は二枚葉が出揃って成長していたので、土寄せをした。トマトやピーマンも順調に経緯している。
 午後から再び草刈をして、午後3時にはその作業を終えた。
 しらとり農場のトピックニュースは子牛が手に入ったことだろう。「ジャージー牛」だということで、ホルスタイン種より一回り小さいらしい。牛が1万5千円で買えるという夢をオーナー夫人が見て、オーナーにその夢の話をした後、「直ぐに電話して」ということになり、その結果即決したらしい。なんともすごい夢だなと思う。しかし、農場にはまだその牛小屋はないのだから、これからその小屋の準備が急がれることだろう。夢は叶うものにしなければならないと、この出来事でもそう思ったことだ。鶏や牛が農場にそろって、あうんメンバーの活躍場面がまた目に見えるようだった。