1月23日(日)
比較的晴れた良い天気。日曜日のこの朝、弘前市内ではどの家庭も雪片付けで忙しそうだ。幹線道路も除排雪業者のトラックやショベルが往来して、早くも排泄処理場に集まってきた雪は岩木河川敷の縁を席巻し始めている。
さて、この日は岩木地区の「ボーリングレクリエーション会」が、弘前市のボーリング場で開催された。最近は会のメンバーもみな成長して、それぞれがあちこちの障がい者施設に通うようになって、会のレクリエーションを開催してもあまり参加が見られなくなった。それはそれで喜ばしいことだと思う。私が今のような通所施設整備を会の代表としてメンバー会員と共に町長に陳情した15,6年前には、地域に通所施設は一箇所しかなかった。まして我が娘のような重度重複障がいの子供たちは、通所施設は狭き門であった。それが今や通所施設は5,6箇所を数えるようになり、それぞれのニーズや好みに合わせて送迎付きで通所できているのだ。本当に親たちの安心出来る社会かどうかは別にしても、最低限の日常生活に支障は少なくなってきたのではないだろうか。
さて、ボーリングに集まった家族は、当初からお互いにこの会を起こしてきた3家族である。
それにしてもこのボーリング場ときたら、駐車場にはエレベーターが付いているとはいえ、肝心のボーリング場に移る瀬戸際が段差だらけであった。メインの会場入口にはエスカレーターと20段以上の階段が待っていた。下の娘はなんとか補助歩行が可能なので、エスカレーターで上がることができた。しかし長女ときたら車椅子なので、おんぶして二回までスカレーターで上がり、車椅子も上げてもらった。帰りはもっと悲惨で、エスカレーターは上りだけで、急な階段を今度は二人の娘をおんぶして下ろさなければならなかった。ボーリングで疲れた足腰が、こんなにもダメージを受けるものかと思うほどひどい階段である。
県南・下田町のイオンショッピングセンターにあるボーリング場は、そういう意味ではすべての人が使いやすく設計されていて、排除されない社会形成がそこには出来ていた。
ボーリング場の内部はそれでも重たいボールを持たなくても、滑り台のようなものが用意されているし、ガーターにならないように柵もできるようになっていてそれはまた皆が楽しめるようになっている。しかし一方で、車椅子の人は座席と通路幅が狭くて、レーンには車椅子のままでは移動できない設計であった。
こういう場面で楽しさに水が刺されるのが、なんとも気の滅入る話である。
参加した方々は久しぶりのボーリングの感触に一喜一憂し、とても楽しそうだった。我が娘たちはボーリングの何たるかも理解することはできないが、目の前を転がるボールとピンの倒れる音、スコアに様々な仕掛けがしてあるのを楽しんでいたような気がする。
2ゲームを全員が投げ終えて、昼食会である。少し離れたH焼肉店に出かけた。するとこの店も10段の急な階段が待ち受けていた。障がい者が車椅子で出かけるということは、まさにバリアー調査でもしているような気分になる。これを誰に訴えていけば良いのか・・・宿題が残った。
焼肉の昼食会をそれぞれにこやかに過ごし、ボーリングの成績発表と賞品授与。それぞれの家族が計画されてはいないのだが、みな一つ二つ商品をもらうことができた。我が長女と私もトップ賞だった。
参加者が少ないと良いことは、商品の質が上がることだろうか。でも商品の質よりも、もっとみなさんに参加してもらったほうが嬉しいのは間違いない。私は満たされている人たちよりも、まだ障がいを受けて生まれてきた親と子供たちが、それからどこに進めば良いのか不安にならないような道案内ができたらということが、この会の役割ではないかと思うのみである。自分の娘の幸せはそこから始まるのだ。