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鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

撫子図鍔 加賀金工  Kaga Tsuba

2010-11-21 | 
撫子図鐔 加賀金工


撫子図鐔 無銘加賀金工

加賀前田家は芸術文化の発展に寄与している。加賀金工の育成のために京の後藤家を招聘して技術と感性を学んでおり、それらの作例をいくつか紹介したことがある。鐙などの武具類の装飾として用いられた平象嵌も鐔の装飾に採られ、それらは極細になる線描写の技術の完成に至り、後の加賀象嵌の本質となった。今回は過去にも紹介したが、後藤家の作風の影響を受けた高彫表現になる作例を示す。
 後藤家が加賀金工に与えた美空間は加賀という一地域で隆盛したが、その一方で後の後藤宗家にも影響を与えることとなった。江戸時代の後藤宗家は、家伝の特徴的な作品を製作することは存在理由として当然ながら、時代背景から新趣の作品をも求められるようになったのであり、後藤分家として京都にあり加賀前田家にも出仕した程乗は、後に宗家九代を相続している。
 この鐔は琳派の美観を鮮明にする作例。撫子を題材にし、その可憐な花の咲く様子と舞い来た蝶を華麗に描写している。


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