鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

鉄線図鐔 美濃

2010-07-08 | 
鉄線図鐔 美濃


鉄線図鐔 無銘 美濃

 かつて、古美濃として紹介したことのある鉄線図鐔である。浅学で恥かしいことだが、ここで、訂正させていただく。古美濃ではなく、古美濃の手法を採り入れた、江戸時代初期の作である。極端に深く彫り込み、図の際端を削ぐように切り立つ描線の特徴などから古美濃としたが、鉄線花を調べ直したことにより、この花が寛永頃に伝来したことが分かった。即ち、古美濃と分類できる時代より後の伝来と言うことになる。ただし、桃山文化の影響が残る時代を古美濃の製作時期と同じと見るのであれば、辛うじて寛永頃はその最後の時期に重なる。筆者は、この鐔について、寛永よりはるか時代が上がるという印象で解説していた。訂正してお詫びする。
 江戸時代初期の作といえど、葉を茂らせる蔓草が唐草状に表現された美しい鐔である。漆黒の赤銅地のみを極端な深彫にし、鉄線の蔓が鐔面を這っているかのように高彫表現している。鉄線花は金の色絵。花の端部が磨り減った様子も味わい格別である。□


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