宇治川先陣図小柄 (鍔の歴史)
宇治川先陣図小柄 銘 後藤光理(花押)
合戦図は後藤家の得意とするところで、宗家四代、五代あたりから盛んに製作されるようになったと考えられている。その伝統的な図柄を受け継いだこの小柄は、赤銅魚子地高彫に金銀素銅の色絵。緊張感に満ちた場面を創出している。
今まさに戦いに向かう者は、自らの具足備えに不安があってはならぬもの、常に完全な状態にするべきである。先陣を切って馬を走らせている後方から、「帯が弛んでいるぞ」などと声をかけられ、慌てて馬を降り、帯を確認して締めなおすなんてことは愚か。
佐々木高綱に嘘の指摘をされた梶原景季こそ、自らの状態を把握していなかったことの証しでもあり、騙した高綱を卑怯と評する声もあるが、戦いの場にある者としては景季のほうが指摘注意されるべきである。
一見、合戦譚、武勇譚として理解されがちではあるが、実は戒めを秘めているのである。作品そのものは精巧で活力が漲っており、定型化した図柄との意見もあるが、町彫り金工を眺めても、これだけの作品が製作できる工は多くはない。
宇治川先陣図小柄 銘 後藤光理(花押)
合戦図は後藤家の得意とするところで、宗家四代、五代あたりから盛んに製作されるようになったと考えられている。その伝統的な図柄を受け継いだこの小柄は、赤銅魚子地高彫に金銀素銅の色絵。緊張感に満ちた場面を創出している。
今まさに戦いに向かう者は、自らの具足備えに不安があってはならぬもの、常に完全な状態にするべきである。先陣を切って馬を走らせている後方から、「帯が弛んでいるぞ」などと声をかけられ、慌てて馬を降り、帯を確認して締めなおすなんてことは愚か。
佐々木高綱に嘘の指摘をされた梶原景季こそ、自らの状態を把握していなかったことの証しでもあり、騙した高綱を卑怯と評する声もあるが、戦いの場にある者としては景季のほうが指摘注意されるべきである。
一見、合戦譚、武勇譚として理解されがちではあるが、実は戒めを秘めているのである。作品そのものは精巧で活力が漲っており、定型化した図柄との意見もあるが、町彫り金工を眺めても、これだけの作品が製作できる工は多くはない。
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