鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

瓢箪図鐔 光廣 Mitsuhiro Tsuba

2010-07-20 | 
瓢箪図鐔 光廣


①瓢箪図鐔 銘肥前矢上住光廣


②瓢箪図鐔 銘長州萩住久次作

 西洋の装剣金具は、中国大陸を経て独特の風合いを帯びた作風となり、南蛮金具と呼ばれ、我が国でも製作されている。図柄は一般的に唐草文と双龍の組み合わせで、唐草は複雑に組み合わされて立体的。わずかに金銀の布目象嵌を施す。
 その影響を受けたものであろう、この肥前国矢上に居住した鐔工光廣(みつひろ)の瓢箪図鐔(Photo①)の彫刻による蔓の描法は南蛮の趣が横溢。鉄地を彫りぬき、まさに蔓が這っているように鐔面を網状に彫刻している。丸みのある瓢箪も実体的で、画面は複雑ながら妙趣を帯びている。
 ②は、正確で精緻な彫刻手法で植物図を彫り描くを得意とした、長州鐔工の特徴的な作風になる瓢箪図。精巧な彫刻表現だが、光廣のような立体的な構成とはしていない。
 千成瓢箪のように、瓢箪には多産、豊穣の意味がある。蔓草のような連続する生命感もあることから、装剣具だけでなく画題に採られた例は多い。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿