鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

桜楓図鐔 埋忠重義 Shigeyoshi Tsuba

2020-03-25 | 鍔の歴史
桜楓図鐔 埋忠重義


桜楓図鐔 埋忠重義

 桜と楓を一緒に流してしまうなんて、文様表現であるがゆえの面白さだ。この文様を創り出したのは誰なのか判らないが、本作は文様表現を得意とした埋忠派の中でも同銘工が京都、江戸など各地で活躍している重義。同人か別人かはまだ分からないのだが、埋忠一門の基幹を成す優工であったことは確かだ。自然空間を切り取って再構築する感性は、先達明壽以上ではないだろうか。

花筏図鐔 正髄 Seizui Tsuba

2020-03-25 | 鍔の歴史
花筏図鐔 正髄 


花筏図大小鐔 正髄

古くから有名な文様。川を流れ下る桜のはなびらを、京の西を流れる大堰川の筏に擬えて花筏と呼んでいる。筏という呼称から、木材を連ねた筏をも文様の一部に採り入れたのは面白い。でも普通に花筏というと、この組み合わせを指す。先に紹介した宜秀の水の流れに桜の図では、筏下りが風景としても名物であった大堰川(桂川)の花筏にならない。細かなところだが、吉野川として捉えたほうが雅である。それにしても、この鐔と小柄においても、桜は花の形状を保っている。花びら一片では確かにわかりにくいか。