夫婦鹿図目貫 後藤栄乗
夫婦鹿図目貫 後藤栄乗
後藤宗家六代栄乗の作と極められた目貫。先に紹介した祐乗極めの笄と比較して鑑賞されたい。裏面の観察では、象嵌が施されている部分にのみ表面からの打ち込みが観察される。深い象嵌処理を施すのであれば当然のことであろう。こうして作品を眺めてみると、赤銅の斑文の存在によって金が一層鮮やかに感じられる。
この平象嵌という技術は比較的古くからあり、正倉院収蔵の刀子などに瑞雲などの線状文様が平象嵌されている例がある。七星剣なども平象嵌による装飾である。ただし、剣などのように表面を研磨する器物は、後に表面と同じ高さに仕上げざるを得ないため、初期の様子が不明である。この技術を装剣金工に採り入れようと祖考えたのはどの時代の金工だろう。より鮮やかで剥がれることのない技術的展開と、豪奢な装飾性の二面で考える必要がありそうだ。
夫婦鹿図目貫 後藤栄乗
後藤宗家六代栄乗の作と極められた目貫。先に紹介した祐乗極めの笄と比較して鑑賞されたい。裏面の観察では、象嵌が施されている部分にのみ表面からの打ち込みが観察される。深い象嵌処理を施すのであれば当然のことであろう。こうして作品を眺めてみると、赤銅の斑文の存在によって金が一層鮮やかに感じられる。
この平象嵌という技術は比較的古くからあり、正倉院収蔵の刀子などに瑞雲などの線状文様が平象嵌されている例がある。七星剣なども平象嵌による装飾である。ただし、剣などのように表面を研磨する器物は、後に表面と同じ高さに仕上げざるを得ないため、初期の様子が不明である。この技術を装剣金工に採り入れようと祖考えたのはどの時代の金工だろう。より鮮やかで剥がれることのない技術的展開と、豪奢な装飾性の二面で考える必要がありそうだ。