鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

唐花文図鐔 応仁 Onin Tsuba

2014-06-20 | 鍔の歴史
唐花文図鐔 応仁


唐花文図鐔 応仁

切羽台の周囲に唐花文を透かし、線象嵌で縁取りしたもの。いずれも地面には点象嵌を散している。この点状文様は、古式の魚子地を想定しているのであろうか。耳は甲冑師鐔の桶底耳で地面は薄手、点象嵌が無ければ甲冑師鐔に分類されるだろう。簡素な鉄鐔に装飾を施そうと考えた場合、下地から企画して創作創造するのではなく、既に存在する甲冑師鐔や刀匠鐔のような鉄板鐔に文様を加えてみることを考える。全く新しい肉彫鐔などに象嵌を加えるとは考えられない。確かに平安城象嵌の前に応仁鐔が隆盛し、その中から文様表現が発展し、展開してゆく。金工鐔では既に高彫色絵作品が製作されていた時代である。鉄地への高彫や象嵌が極めて少ないのは、銅合金よりも硬い鉄地を処理して象嵌を施すという技術面での問題があったのだろう、応仁鐔の象嵌に脱落が多いことでも良く分る。87.2ミリ。