初代が高く評価される理由はもちろん理解できる。初代の技術や高い創造性を受け継ぎ、初代の作風を守りつつ多くの注文を受けて作品を遺した二代目は、それが故に初代の陰に隠れてしまっているように感じられる。三代目は先代の作風に独創を加えようとし、結果として特色のある作品を生み出す。後藤家の上三代が、まさにそのような流れとなった。
高い評価を受けている祐乗の陰に隠れるような存在だが、宗乗もまた感性鋭く技術高く、精巧精密な作品を遺した名人であることは間違いない。

福神相撲図目貫 無銘宗乗
龍や獅子図などのように鏨の打ち込み痕を強く残した作品もあるが、このようにおおらかな作風もあり、宗乗の技術力の確かさが再確認されよう。常に比して大振りの、たっぷりとした量感のある造り込みになる目貫。赤銅地を強く打ち出して立体的な容彫としている。図柄は七福神信仰でも馴染みの四神。室町時代後期から人々に受け入れられるようになった七福神信仰を背景に、我が国の古典に通じる風習を、格調高い図に仕上げている。我が国には、自然神を相手に一人相撲を演ずる儀式がある。豊穣なる社会で人々は不安なく生活できる。これもごくごく日常的な願いが鮮明に示されている図である。このような作品があることにより宗乗が高い評価を得ているのである。□
高い評価を受けている祐乗の陰に隠れるような存在だが、宗乗もまた感性鋭く技術高く、精巧精密な作品を遺した名人であることは間違いない。

福神相撲図目貫 無銘宗乗
龍や獅子図などのように鏨の打ち込み痕を強く残した作品もあるが、このようにおおらかな作風もあり、宗乗の技術力の確かさが再確認されよう。常に比して大振りの、たっぷりとした量感のある造り込みになる目貫。赤銅地を強く打ち出して立体的な容彫としている。図柄は七福神信仰でも馴染みの四神。室町時代後期から人々に受け入れられるようになった七福神信仰を背景に、我が国の古典に通じる風習を、格調高い図に仕上げている。我が国には、自然神を相手に一人相撲を演ずる儀式がある。豊穣なる社会で人々は不安なく生活できる。これもごくごく日常的な願いが鮮明に示されている図である。このような作品があることにより宗乗が高い評価を得ているのである。□