総金具 (鍔の歴史)
節句尽金具茶潤塗鞘打刀拵
総金具 仲上元次(花押)
季節の節目として重要な位置付けにある節句は、我が国の文化遺産であり、時に遊興として楽しむ機会も設けられている伝統行事。この節句に関わる事物に取材した美しい総金具で装い、洒落た中にも風格の感じられる独特の風情を求めた打刀拵。総金具の作者は、仲上元廣の門人でその養子となった元次。精巧で緻密な彫刻表現を得意とし、京の雅と華やかさを備えた作風を専らとした名工の一人。正月を意味する根曳の若松は頭に、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの七草は縁に、御簾に吊るした薬玉に葵の葉を添えて端午節句は鐔に、星座図小柄は七夕を、束ね菊に栗餅を添えた重陽の節句は栗形に、これに草花図目貫を添えた一作金具はまさに一年の流れを俯瞰するようだ。いずれも上質の赤銅地を用い、鐔は磨地に金銀素銅の平象嵌で毛彫を加え、金覆輪を施して清楚な雰囲気が充満。縁頭は魚子地を立体的高彫にして金銀の色絵、金小縁で鮮やかに仕上げている。魚子地高彫金銀色絵裏板金哺に仕立てた小柄に描かれている川辺の風景は、七夕に関わる禊の意味が秘められている。栗形も魚子地に量感のある高彫金銀素銅色絵で、洒落た金印が平象嵌で施されている。目貫は新鮮味のある秋草取り合わせで、容彫に華やかな金銀色絵。これを白鮫皮に納戸色糸で蛇腹巻としている。鞘は赤銅の漆黒を引き立てる深い色合いの茶潤塗。総体が美しく、しかも品良く仕立てられている。□
節句尽金具茶潤塗鞘打刀拵
総金具 仲上元次(花押)
季節の節目として重要な位置付けにある節句は、我が国の文化遺産であり、時に遊興として楽しむ機会も設けられている伝統行事。この節句に関わる事物に取材した美しい総金具で装い、洒落た中にも風格の感じられる独特の風情を求めた打刀拵。総金具の作者は、仲上元廣の門人でその養子となった元次。精巧で緻密な彫刻表現を得意とし、京の雅と華やかさを備えた作風を専らとした名工の一人。正月を意味する根曳の若松は頭に、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロの七草は縁に、御簾に吊るした薬玉に葵の葉を添えて端午節句は鐔に、星座図小柄は七夕を、束ね菊に栗餅を添えた重陽の節句は栗形に、これに草花図目貫を添えた一作金具はまさに一年の流れを俯瞰するようだ。いずれも上質の赤銅地を用い、鐔は磨地に金銀素銅の平象嵌で毛彫を加え、金覆輪を施して清楚な雰囲気が充満。縁頭は魚子地を立体的高彫にして金銀の色絵、金小縁で鮮やかに仕上げている。魚子地高彫金銀色絵裏板金哺に仕立てた小柄に描かれている川辺の風景は、七夕に関わる禊の意味が秘められている。栗形も魚子地に量感のある高彫金銀素銅色絵で、洒落た金印が平象嵌で施されている。目貫は新鮮味のある秋草取り合わせで、容彫に華やかな金銀色絵。これを白鮫皮に納戸色糸で蛇腹巻としている。鞘は赤銅の漆黒を引き立てる深い色合いの茶潤塗。総体が美しく、しかも品良く仕立てられている。□