鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

新田義貞稲村ヶ崎図縁頭 Fuchigashira

2011-06-06 | 縁頭
新田義貞稲村ヶ崎図縁頭


新田義貞稲村ヶ崎図縁頭

 鎌倉攻めの新田義貞を描いた縁頭。自然の山並みが楯となっている鎌倉は、その地勢そのものが天然自然の城郭。これに入る道は、幾筋かの山を切り通した隘路があるのみ。それがために守りが固く、中々攻め入ることができない義貞は、稲村が崎の海辺を進むことを決意した。だが、波打ち際であり、通行は困難。そこで、海神に念じ、太刀を海に投じたところ、なんと波が引き始め、ようやく人の通行が可能な状態となった。それっとばかりに義貞軍は鎌倉へと攻め入った。
 念じた程度で海の水が引くわけがない。これに関しては、この時代には、現在よりも水位が低く、干満の時間を知っていたという説もある。地震によって水が一時的に引いたという方もいるがどうだろう。新田義貞を有名にしている伝説である。