鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

杉田梅図小柄 後藤光孝 Goto-Mitsutaka Kozuka

2011-02-11 | 小柄
杉田梅図小柄 後藤光孝


杉田梅図小柄 銘 後藤光孝(花押)

後藤宗家十三代光孝(みつたか)の小柄。現在の神奈川県磯子区杉田は梅の産地として有名であった。今ではあまり知られていない杉田梅とは、戦国時代に始まり、江戸時代には数万本も植えられており、実が大きく果肉が多いところに特徴があったそうだ。観梅の名所としても知られていた。
 この小柄は、写実性よりもむしろ鄙びた村落といった風情で梅林の様子を文様風に描き表わしている。夕暮れ時の闇の迫る野に月明かりがかすかに差し込んでおり、白梅の花が闇に静かに溶け込んでゆく。後藤宗家らしさは感じられない、後藤家にあって興味深い作風でもある。