イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

北海道のワイン

2010-03-29 09:25:26 | 食・レシピ
2008年に収穫された4種類のブドウから造られたワインです。購入は去年の夏、価格は2000円台前半だと記憶しています。それぞれのブドウ品種の特徴をよく顕わしていると思いました。白桃、グレープフルーツ、パイナップル、白い花の複雑な香り。困ったことに私の能力では、それ以外によさを表現できる言葉が見つからないので、コメントはここで終わりです。まだまだ修行が足りませんね。勉強不足を痛感させられました。あれこれ考えながら、フリウリ ビアンコを彷彿とさせてくれるワインのことを思い浮かべていました。

ウマニ ロンキ社、ヴェルディッキオ デェイ カステッロ ディ イエージ クラッシコ スペリオーレ“カ

2010-03-21 20:56:20 | 食・レシピ

このワインは、ワインショップで1500円前後の価格で売られています。この価格帯のワインにしては熟成感を楽しめる数少ないワインです。ただし、果実味がしっかりした作柄が良い年であるという条件は付きます。この2006年は天候に恵まれたとてもよい年でもあり、ワインの評価も高い部類に入ります。
しっとりした落ち着いた雰囲気を醸し出し始めています。複雑さを多く望むことはできませんが。よい雰囲気が出始めています。香りはいまだに若々しく、ふくらみのある滑らかな酸と充実した果実味は、しっかり構成された味わいになっています。何といってもほろ苦さが、かつてのヴェルディッキオから一掃されています。これならばチーズと合わせても違和感はないはずです。ミネラリーなアフターテイストに心地よい余韻を十二分に堪能できます。熟成感はまだ十分といえませんが。これから楽しみが待っていると思われます。


タメリーニ社ソアーヴェ クラッシコ“レ ビーネ デェ コスティオーラ”2007

2010-03-15 09:54:21 | 食・レシピ

このワインはガルガネガ種100%をステンレスタンクで熟成をされます。2000年以前のソアーヴェは後味に残る苦みがどうしても好きになれずにいましたが。近年のソアーヴェはナッツの甘皮や栗の渋皮のような余韻の心地よい味わいに変化しているような気がします。以前は2種類のソアーヴェを置いてありましたが。リストを見直しにあたり、1本に絞り込めるはずもなく、複数のソアーヴェをオンリストしました。フレッシュ感を楽しめる“セレオーレ”、作柄が良い年には熟成感を楽しめる今回の“レ ビーネ”のようなワインがあります。
モモ、洋ナシのふっくらした香りとレモンのピール、ミネラリーなバランスよい香りがします。このミネラリーな香りが火打石や鉛筆といった炭素系の直線的な香りではなく、どのように表現していいか迷う香りです。唯一の不満があります。この価格帯のワインならば、もっとたっぷりした果実味があってもいいと思います。しかし、スリムな味わいであると考えればよいのかもしれません。それと抜栓時期が早すぎたのかもしれません。味わいの構成がしっかりするまでに時間が係るのかもしれません。むしろ、そうなることに期待をさせられます


コンテルノ ファンティーノ社のバローロ“ヴィーニャ デル グリ”1997

2010-03-08 09:29:57 | 食・レシピ

一連のバローロが飲み頃を迎え、呼ばれるがごとく、次から次へと飲みたくなります。ヴィーニャ デル グリは何故か途中で経過を見なかったワインです。香りは:甘草、コショウ、シナモンの上品な香りと黒オリーブ、桑の実のリッチな香り。いまだに若々しい果実味、ふくらみのある柔らかな酸。味わいの中で一番嬉しくさせられたのがタンニンです。最初に張り付くような強いアタックがあります。しかし、淡雪が解けるように綺麗に解けていきます。この引き際の潔さが、桜の花の散り際に重なり、春の桜が無性に恋しくなりました。いまだ寒さが居座る札幌ですが。柔らかな酸と果実味に心温められ、タンニンの余韻の潔さに、運命を冷静に受け入れる日本人的な精神を感じます。
話が飛びますが、太宰治の小説「人間失格」を原作にした映画を見てきました。原作は読んでいないので、監督の意図とした事は解りませんが。筋だけを見ていくと女優さんの演技だけが華やかで。特に津軽の風景は混沌としたグレーが立ち込む映像が映し出されていました。その最中に、ふと思い出したのが弘前城の桜です。散った花びらは道路を桜色に埋め尽くし風に吹かれるままにうごめく様は、まさに風の行く末の運命を穏やかに受け入れ、散ってなお、その美しさを顕わにしています。“ヴィーニャ デル グリ”を飲んだ翌日に、タンニンの潔い引き際を桜の散る様が微妙な重なりに感じられ、思わぬところでワインの余韻が蘇ってきました。
訂正があります。先回のグロミス社のバローロ1988とありますが。正しくは1998です。申し訳ありません。