このイタリアワインは、ご存知の人もいると思いますが。イタリア語とドイツ語の併記がされているワインです。中にはドイツ語の表記だけになっているワインもあります。
Lagreinの日本語表記はラグレインになっていますが。某インポーターの表記には当初よりラグラインと書かれてあります。しかし、表記で多数なのはラグレインです。イタリア語読みなのか、ドイツ語読みなのか、の違いであると思われますが。知識として覚えていたほうがよいと思います。
さて、ワインの中身ですが。コメントには、クランベリーや桑の実の馨しい香りと書いてありますが。馨しい香りはミディアム ローストしたナッツの芳ばしい香りに感じられました。それに、グリーンノーツの印象がすっかり鳴りをひそめ、フルーティーな香りが大半を占め、それを引き立てるように香辛料の香りが感じられます。酸とタンニンはこわばったような緊張感がなく、滑らかです。余韻は長く、味わいの構成は美しくチャーミングで、すべてがふくよかで張りがあります。何といっても酔い心地がよかったです。
今回のイタリアワインは試飲のために取り寄せた一本です。パラスコスはSO2無添加で瓶詰めをする自然派の造り手です。ピノ ネロ100%で造られるこのワインは、解放桶での発酵の後に、様々な大きさのオーク樽(バリックからトノー)で48ヶ月間の熟成をされ。樽熟が結構長い部類に入ります。
桑の実などの森の黒い果実、タバコ、わずかですがレーザーのような動物的な香り、サクランボなどの香りに、ミネラリーな香りと味わいが他にない特徴的な印象を受けました。滑らかなタンニンとふっくらした酸、円熟した果実味はゆったりした印象があります。しかし、果実味の甘さがかなり強く、前面に出すぎのような気がしました。それと、蒸れたような匂が受け入れがたい印象を受けました。フルーティーなアフターテイストにゆったりと揺すられるような長い余韻が心地よく残ります。
ワインリストに載せるには微妙な位置にあります。ノワールがよければ、リボッラ ジャッラとフリウラーノを検討しようと思っていたのですが。次回の試飲のチャンスを待つことにします。
ワインは銘柄を決めていたようで、ベルターニのアマローネを抜栓しました。片付けと掃除を終え、残して頂いたアマローネを上がり酒に、これからもっと頑張って仕事をしなければと思いました。
ベルターニのアマローネは深淵な味わいがあり、すべてを包み込む包容力と懐の深さがありました。それは外観にも表れ、静かでほほ笑むような表情を見て取れます。懐の深いフレッシュでフルーティーな香りに、柑橘系の砂糖漬け、スパイスの香り。シルキーなタンニン、角をすべて磨かれた柔らかな酸、深淵な味わいは心が溶かされるような心地よいアフターテイストに長い余韻が続きます。
新しくリストに加えられたA. A. ゲヴュルツトラミネール “ルナーレ”(Alto Adige Gewürztraminer “Lunare”)は少し前にテルラーノの講習会で初めて出会ったワインです。過去に味わった記憶がまるでないワインです。トラミネールがこれほどまでにミネラリーな香りと味わいだったことに気づかずにいたのかもしれませんが。今回の講習会の試飲で心を鷲掴みにされ、リストには絶対に加えなければと思いました。
インポーターの担当者曰く、アルト アディジェ州の中でテルラーノの地域だけ火山性土質でシリカが多く含まれているのが特徴で。このシリカがワインに影響を与えていると説明を受けました。もしも、このワインをブラインドテイスティングで出されたならば、私ならソーヴィニヨン ブラン、それもイタリア以外の産地(特定が出来ない)としか言いようがありませんでした。それは、アロマチィックなブドウ品種であるはずなの、特徴的な苦みと金属的なミネラル感が、トラミネールだとは思われなかったからです。
イガイガした苦みと直線的なミネラリーな味わいはエイジングをすることで落ち着くと思われます。その時のどのような一面を披露してくれるのかが楽しみです。