以前より1万円以下で抜栓でき、熟成を楽しめるバルバレスコを探していました。対ユーロの為替も以前のレートに近づき(私の感覚ではそれでもまだ高い)リラだった時の価格に戻りつつあるワインも有りますが。高止まりのままの価格のワインがあるのも事実だと思います。為替相場の側面だけで捉えることが出来ないことは解っていますが。価値観が価格というフィルターを通して共鳴しないワインは所有している意味すら、だんだんと薄れているが今の私の考えです。
さて、このバルバレスコ サン クリストフォロ(Barbaresco San Cristoforo)2006は単一畑のネッビオーロから造られるクリュワイン(Sottozona ネイヴェの北西)です。ワインショップで4000円くらいの価格が付くと思いますが。輸入販売をしている会社が業務用専門の商社のためワインショップに並ぶことはおそらくないと思います。
個性的なバルバレスコを一万円以下で売ることを設定、それに5年ほど寝かせて置いても大台を超えないことを条件にいくつか候補を選んでいました。実はまだ試飲をしていないワインもあったのですが。納価に特別な条件を付けてくれたので、このワインに決めました。当然、内容は私の基準をクリアーしていたことは言うまでも有りません。リストの中のコメントは暫定です。というのも、まだエーテル臭が強く、そして収斂性が強くあり。何年かエイジングをする必要があるからです。そして、5年後に8500円の抜栓価格を付けようと思っています。私が思うに、その頃よりお楽しみが始まる様な気がしています。
今月は新たに、もう一本ワインリストに加えました。この、レッジアーノランブルスコ“コンチェルト”(Reggiano Lambrusco Secco Concerto)はランブルスコ サラミーノ種から造られる弱発泡性の赤ワインです。今までは、リストに載せられず。白ワインにまぎれて片隅でひっそりと佇んでいるワインでした。大した理由はありません。お客さの希望に合いそうな時に、提案させて頂くワインだったからです。そして、ランブルスコに馴染みがないと、この軽口で辛口のワインはその良さを軽視される傾向にあると思っているからです。
白身の魚に合わせるのは難しいと思いますが。ガツンとくる料理(たとえば、串カツや市販の味付けジンギスカン)ならばさらりとしたタンニンと軽妙な酸が料理を引き立ててくれると思います。
私がこのワインを選ぶ時は、料理にあれこれ介入してほしくない時に選びます。それに、「軽く一杯いきますか。」といった場面で、華やかな香りに透き通るような果実味、余韻の潔さが、間の空間をうまく埋めてくれるような気がするからです。なお、ワインリストのコメントは今年の試飲会で書きためていたものです。
今回、アントニオロ社 ガッティナーラ オッソ サン グラート 05ミルツィアーデ アンタノ社 モンテファルコ サグランティーノ コッレアッロドーレ 04グラーチ社 エトナ ロッソ クォータ 600 07以上の3本を新しくワインリストに加えることにしました。ガッティナーラは以前に何度か試飲した時のコメントを引っ張り出して記載しましたが。後の2点はインポーターの営業マンの云うことを信用して購入を決めた次第です。3点に共通していることは、おそらくナチュラルテイストをワインに求めた結果、コンクリートタンクでアルコール発酵、大樽での熟成に、余儀なく長い瓶熟を経なければならない点です。エトナ ロッソは3年もすれば抜栓することが出来ると思いますが。10年後に訪れる“たまらなくテイスティー”な一時を今から考えるだけで、わくわくさせられます。
今回はカルダーロ地区から産出される、アルト アディージェ ピノ ネロ“サルトネル”(Alto Adige Pinot Nero “Saltner”)です。この地域のワインは、イタリア語とドイツ語のほぼ2ヶ国語表記になっています。中にはドイツ語表記をされただけのワインもあるので、SÜDTIROL(南チロル)という意識の強い土地柄であるようです。このワインの産地は地理的には、サンミケーレ エッパンの少し南側にありアディージェ川から同じくらいの山麓に位置しています。
手頃な価格で熟成感も楽しめるピノ ネロをストックし、後日の楽しみにしようと思い選んだのですが。今回抜栓して感じたことは、薬箱のような香りが一番先に飛び込んできたことです。薬用植物のような香りをスパイシーな香りと表現するかケミカルな香りと表現するのかは、悩ましい問題ではありますが。このまま、NGな香りに進んでいかないように、願うだけです。しかし、味わいは邪魔な要素がありますが。さらりとしたタンニンにしっとりした華やかな酸は、まだまだフレッシュ感があります。森の赤い果実のニュアンスは感じられませんでしたが。クランベリー、ブラックベリーの成熟した香りと味わいはゆったりした広がりがあります。気になる(不愉快な)スパイシーなアフターテイストに心地よい余韻が続きます。
今回は熟成している途中の本来は見てはいけない過程での抜栓をしてしまったと思っています。しかしながら、内心は以後の瓶熟が無駄にならなければよいのだが。