イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

ヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ 2004

2013-11-27 09:39:21 | ブログ

Montepulciano2004 今回のイタリアワインは、ファットリア デル チェッロ社のヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano) 2004です。
飲んでいる最中に思い出したシチュエーションが、谷崎純一郎の細雪です。次女の損な役割をそのままに、当てはめられたようなワインです。モンタルチーノの長女、キアンティの三女、ボルゲリの四女の間でスタンドプレイもせず、古風で目立った主張をせずに、評価を恐れずにわが道を行く。何かとっても心が癒されるワインでした。そこで、コメントがちょっと、そっけなかったので加筆をしました。
日本のワイン検定の顛末記ですが。4本のブラインドテイスティングは2本正解、答えに窮したのが50問中3問でした。テキストをそれなりに理解していなければ、合格は出来ないような問題でした。
試験は10時からなので前日に東京に入りました。宿はニューオオタニを取っていた赤坂見附の沙伽羅でおそばを食べました。この蕎麦屋さんは辛汁です。隣の客がぴぃぴぃと自然薯がどうしたこうした、と言っているのでひょいと見てみると色や粘り気から、「それはイチョウイモ」と思わず言いそうに。連れの客は、この辛汁にそばをダンクしたかと思えばズルズル音立て「お~お、辛そう」と思いました。ホテルにチェクインを済ませ、その後は銀座をぶらぶら、レトロな椿屋珈琲店で時間をつぶし、予約をしておいた“小十”へ。料理はとにかく美味しい。素材を引き立てるお出汁の香りと味わい。素材の美味しさを細部にまで綿密に施された気遣い。最後に出てくる食事は「スッポンの炊き込みご飯」、まず土鍋に仕上がった炊き込みごはんを見せてくれて、よそられたご飯が出てきます。その時点で残りはお土産にどうですかといわれ、あまりの美味しさに持って帰りました。札幌からの客である事は予約の段階でわかっているはず、このスッポンの炊き込みご飯、翌日食べも美味しく頂きました。おそらく、炊きあがりも、冷めて翌日に食べても、どちらでも美味しく食べられるように、調理されているのではと思いました。技の数々を見せられ、なんだか嬉しい気分にさせられました。3日目は麻布十番の更科堀井へ、ここはちょっと甘たれなので、ちょっと多めに付けて頂きました。美味しい3日間ありがとうございました。


甲州 原茂 ヴィンテージ 甲州

2013-11-22 23:47:29 | ブログ

Photo_2 今回は初めて飲みながらのブログを書いています。いつもは、飲んでいる最中は感想を色々と考えているだけです。翌日に空いた時間に文章を書いています。お店ではインターネットに接続が出来ないので、自宅に帰ってからブログとフェイスブックにアップをしています。 日本のワインを続けて飲んでいるのは、日本ワイン検定の対策のためです。しかし、オーダーミスで甲斐ノワールが手元になくチェック出来なかったことが心残りです。
今この歳になって、何故セミナーに出たり、資格試験に挑戦したりしているのかは、3年くらい前にちょっとしたことがあり、何か結果を残さなければいけないと考えたからです。そこでJET CAPに出られれば、名前もクレジットされるし、今まで積み上げてきた、イタリアワインかぶれの度合いも解るように思えたからです。まずはソムリエの呼称試験に挑むも、2次試験のデキュシュタンでワインの一つ書き換え、リキュールを一つ書き換えてみごとに不合格。そういえば今年のJET CAPは筆記問題を31問中29の正解、しかし、テイスティングを1つ書き換え、結果一つの正解でしたが、20人枠には入れず。ファーストインプレションが、いかに大事か痛感させられました。
ソムリエの呼称試験に不合格だったので、これですべて辞めようと思っていましたが。周りの人達が来年頑張ればいいみたいな、雰囲気で2次試験に再挑戦することになりました。一年間のブランクが空くのを嫌い、調理師試験を受けることにしました。調理師試験に受かると食材の物知りになりたく、北海道フードマイスター資格に挑戦、しかし、本当は食材の目利きに関る事があればと思っています。そこで、来年は上級試験に挑むつもりです。一昨年から日本のワインに目覚めこともあり、いっそのこと資格を得たいと考えた次第です。最終の目的はシニアソムリエにあります。再来年の春まで緊張を絶やさずにいたいと思っています。
さて、ワインです。外観は水様で淡い黄色。そこまではいいが、味わいが今までのとは、ちょっと違います。柑橘系があまりない、香りもそうですが、白桃、みかん、ノンアロマティックなワインとは思えないワインになっています。香りがとてもいい感じで、上等なトレッビアーノ ダブルッツオにある苦みを感じます。味わいは単純かもしれないが楽しいワインです。だいぶ酔ってきました。明後日は!


ルミエール社、山梨 岩出 ブラック クイーン “レザンファン”2011

2013-11-22 09:43:03 | ブログ

Photo 今回も日本のワインです。山梨 岩出 ブラック クイーン “レザンファン”2011のレポートです。長い名称を付けましたが、バックラベルを見ると山梨市岩出地区のブラック クイーンで造りましたと記されていたので。イタリアの例に倣い、コムーネ(市町村にあたります)、サブゾーン、ブドウ品種、名称の順に表記しました。このブドウはベーリーとゴールデン・クイーンの交配品種です。
灌木、ヨード、桑の実、スパイスの香り。輪郭のしっかりした柔らかな酸と滑らかなタンニン、素朴な果実味にスパイシーなアフターテイスト。狐臭が気になるのではないかと思っていたのですが。気になるような感じはしませんでした。
最初の印象はプーリア州のティンティリアです。朴訥な感じが似ているような気がしました。拾い集めていくと、サンジョヴェーゼを思わせる醤油のニュアンスを読み取ることが出来ました。それにアフターテイストがフミンやラグレインを思わせる八角などの東洋のスパイスかな、と思いました。よく言えば素朴な味わい、難癖を付けるとすれば複雑さに欠ける。どちらに捉えるか悩ましいワインでした。
ふと、バックラベルに目をやると、料理との相性を「醤油たれやスパイスの効いた料理、赤身の肉」とあり、何か同じニュアンスを感じているかな、と思いました。


ハラモ ヴィンテージ 甲斐ブラン 2009

2013-11-21 21:44:01 | ブログ

Photo_2 今回は日本のワイン、原茂ワインのハラモヴィンテージ甲斐ブラン 2009です。このブドウは山梨県果樹試験場でピノ ビアンコと甲州を交配して作られた品種です。
フリウリのピノ ビアンコをかつてはオンリストしていましたが。5年ほど前にワインの良さを確認できなくてリストからはずしました。最近E社から葉書でワインのエピソードが送られてきます。その中にピノ ビアンコのエピソードが書かれてあり、その内容に興味を惹かれているところです。この葉書がなければピノ ビアンコについて、過去に良さを理解できなかったワインの一つくらいの認識しか持てなかったワインです。今回、この葉書に書かれていたことが、ものすごく助けになっています。
ミネラリーで柑橘系の香りに、白い花、ハーブ、クリーミーな香り。輪郭のしっかりしたさわやかな酸とブリィとした果実味はピノ ビアンコと甲州が合体しお互いの特徴を高めあっているようで。全体の構成はバランスよく、ワインを飲んでいる充実感があります。ミネラリーなアフターテイストに心地よい余韻が続きます。
今、北イタリアでは白ワインも赤ワインのように、モストに果皮と種子をそのまま一緒に発酵させる、昔ながらの醸造が増えています。この甲斐ブランもひょっとしたら、醸し発酵をすることで、面白いワインが出来るような気がします。


ルバイヤート 甲州 シュール リー 2012

2013-11-20 21:34:40 | ブログ
Photo 今回もイタリアワインではなく、丸藤葡萄酒工業株式会社のルバイヤート甲州シュール リーです。
前日の甲州バレルとは同じブドウ品種なのかと思われるほど、違いがあります。生き生きとした酸はしっかりとしていますし、果実味は夏ミカンのようでした。ハーブ(マジョラムかオレガノ?)、夏ミカンのような柑橘系にサワークリームの香り。このサワークリームの香りはシュールリー由来だと思いますが。舌の上ではアミノ酸の旨味のある味わいを感じました。1ヶ月半前に試飲した甲州“祝”は同じシュール リーの製法を用いているのに、同じような旨味を拾うことが出来なかったように記憶しています。
それぞれの印象は、甲州祝は端正なワイン、甲州バレルがしなやかなワインなら、ルバイヤート甲州は弾力のあるワイン。この3種類のワインはどこか似たようなところがありますが。ブラインドで出されたら迷うような気もします。しかし、甲州であることは外観が水様で淡い黄色を見つけることで半分くらいは確定させ、柑橘系の香りと、後はインスピレーションに頼るしかなさそうです。