イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

グレーコ ディ トゥーフォ クティッツィ 2010

2017-08-28 13:47:20 | イタリアワイン

今回、抜栓したイタリアワインはグレーコ ディ トゥーフォ “クティッツィ”(Greco di Tufo “Cutizzi”)2010です。

グレーコの産地にとって2010年はグレートな年でした。天候の恩恵を十分に受け、悩んだ形跡をどこにも見つけ出すことが出来ない、素直な綺麗さがあり。冷静沈着に構えた味わいと香りはうっとりする美しさがあります。

セージの葉にクローブを磨り潰した様な香りがまず鼻腔に飛び込んできます。次に白桃、林檎、ハネデューメロンなどの温帯の果実を連想させる香りが漂い、寄り添ってきます。構成のバランス、すらりとした体躯は感情を露にしない、慎ましやかな美しさを感じます。そして、酔い心地も好い感じでした。


エトナ ロッソ

2017-08-18 20:37:47 | イタリアワイン

今回、抜栓したイタリアワインはテッレ ネレの エトナ ロッソ(Etona Rosso “Tenuta delle Terre Nere)2010です。

当初、エトナの売り出し文句がブルゴーニュのようなミネラル感、と言っていたような記憶があります。しかし、ブルゴーニュを一つで括るのは、如何なものかと思います。何か刷り込みがあるのか、苺と木苺の香りや味わいが口の中や鼻の中をうろうろするばかりで次が出てこない。5年ほどのコンディショニングで酸とタンニンは角が取れて滑らかになっています。タバコ、腐葉土、レーザーの香りもブルゴーニュを思わせるかもしれないが、火山性土壌の由来だと考えれば、納得できるのでは、と思います。果実味が目立つことなく、穏やかな酸とタンニンは南イタリアのワインを思わせるようなことは無い、と思います。

エトナ山はピノ ネロやシルヴァネールのワインも造っています。


カピテル クローチェ

2017-08-16 20:08:52 | イタリアワイン

今回、抜栓したイタリアワインはカピテル クローチェ(”Capitel Croce” Veneto Bianco I.G.T.)2007です。畑はモンテ ゾッペガ区画の中、ガルガネガ100%で造られています。ソアーヴェの呼称を名乗れますが、敢えて外しています。畑の手入れから醸造まで熟すロベルト アンセルミさんはソアーヴェに対する思い入れが強過ぎる人でもあります。

イタリアの白ワインは、以前、フレッシュ感を楽しむものだ、と考えていました。ある時、5年ほどデットストックになっていたヴェルディッキオは思いの外、新しい展開を見せてくれました。そこから、熟成感を楽しめそうな銘柄を選定し、ストックを始めました。

7年間セラーにストックされたカピテル クローチェはミネラリーでミネオラ オレンジのような柑橘系の香りに藤の花、サンブーコのふっくりと厚みのある香りはとても艶やかです。シルクのベールで隠されたような奥床しい酸と苦さの凹凸を滑らかに研ぎ澄まされたほろ苦さは華やかに造り込まれています。前面に目立つような果実味はもう少し落ち着いて欲しいと思いました。