イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

ヤマブドウはヴィティス ラブルスカ?

2013-02-27 10:18:03 | ブログ

遅くなりましたが。Katabamiさんへ、チェラズオーロの事を調べて頂いてありがとうございます。ついでながら「ワインの世界史」の中に気になる箇所があります。それは110ページに日本の葡萄について触れている箇所があり、以下のようになっています。
日本原産の品種は三つが栽培されているが、それらはフォクシーであまり美味しくはない。すなわち
ヤマブドウは(Vitis coignetiae、アメリカ産のVitis labruscaと近縁)、
エビズル(Vitis thunbergii、アメリカ産Vitis candicansと近縁)、
サンカクズルは(Vitis flexuosa、アメリカ産Vitis cordifoliaと近縁)である。
ルヴァドゥ[フランスの葡萄研究家]の分類では、最初の二つはラブルスカ系(アメリカ ヤマブドウ)、三番目はリパリア ブドウ(米国産のブドウの一種。寒冷や害虫に強く、ブドウの接ぎ木の台として用いられる)である。

手元にある資料を開くと、日本ワイン検定公式テキストではヨーロッパ系、アメリカ系、アジア系に系統別され、ヤマブドウはアジア系のヴィティス コワニティーとなっています。日本ソムリエ教会の教本に、関根 彰著「ワイン造りの話」でも分類は同じような扱いになっています。「ワイン造りの話」では、さらに詳しくヴィティス ヴィニフェラは東洋系(Orientalis)、西洋系(Occidentalis)、黒海系(Pontica)に分類され、各亜系まで及んでいます。こうなると系統図が変わってくるのではないかと思われます。大きな問題ではないと思いますが。著作物においては簡単な問題ではないと思います。あいにく植物図鑑がないので、調べようがありません。
ちなみに「ワイン造りの話」の中で、日本の甲州はクロウメモドキ目ブドウ科ヴィティス ヴィニフェラ属オリエンタリス種カスピカ亜種になっています。


ヴィヴェーラ社エトナ ロッソ マルティネッラ 2009

2013-02-19 09:03:04 | ブログ

Photo 今回、試飲したワインはサンプルとして取り寄せた、エトナ ロッソ マルティネッラ(Etna Rosso Martinella)です。2週間前のエトナ ロッソ サリズィーリと同じ生産者のワインになります。テクニカルシートによると植樹が2003年とあります。この若い樹齢が、それがどのようにワインに影響しているか、私には解りませんが。早とちった印象は感じませんでした。とにかく愛くるしいワインで、思わず「おいちいでちゅか」と赤ちゃん言葉が出てくるような、可愛らしさを感じます。
「ダークチェリー、ブルーベリーの香りにひょいと顔を出すようにヴァニラや爽やかなイチゴ、バルサミコの香りが現れます。ぷくっと円い穏やかな酸と徐々に存在感を示す滑らかなタンニン、フレッシュでフルーティーな果実味があります。」、これ以後のコメントが書けないでいます。味わいをどのように表現していいのか言葉が出てきません。それよりも、華々しい果実味に違和感を覚えているからです。若い樹齢がそのようにさせているのか、先入観がそうさせているのか解りませんが。何かしっくりこない、もやっとした気持ちが先に進めさせてくれません。とは言っても難解さのない綺麗で美味しいワインでもあります。しかし、難癖を付けたくなるワインでもあります。
これから一皮?けるのか、構成力を増していくのかは解りませんが。ウォチングの楽しみが増えたワインになりそうです。


ジャン=ロベール ピット「ワインの世界史」

2013-02-14 09:59:17 | ブログ

Photo 原書房出版、ジャン ロベール ピット 著書、幸田礼雅 訳の「ワインの世界史(海を渡ったワインの秘密)」の紹介です。前回、コメントを頂いたKatabamiさんへの返礼その2でもあります。
政治学の視点からワインの歴史を書いているので、ワインがかくのごとき政治的に利用された経緯があったのだという事は解りました。しかし、当初考えていた「プリニウスの博物誌」のラテン語で書かれてある地名を現代の読みにするには役立っていますが。前半は退屈で、後半の3分の1の第8・9・10章で興味を惹かれるような内容になっていました。 読み終えて思った事は、ソムリエ協会のワイン読本に出てくる歴史が簡素な文面になっているが解るような気がします。ワインを扱う人達が仕事のための知識としての歴史を考えると。政治や宗教が係わってきた戦略なり時代背景の説明は関係のない話だと思いますし。それこそ美酒の喜びを謳歌する事とは無関係だと思います。そして、著者は書いています「ブドウ畑の風景は楽しい」、「ワインは、その宗教的機能の改善を図りつつ、他方で恵み多き飲食物として、あるいは社交的な原動力として、さらに快楽の源泉として評価されてきた。それが、ワインの大きな美質なのだ。」と。

ふと思った事は、経済なり人文学の側面からワインの歴史を紐解くと、どのような展開になるのか。甘いワインからドライなワインへ、何故移っていたのか。ワインの流通の時代変化。ポンパドール夫人のヴェルサイユ宮殿でのワインの逸話。ダキテーヌ夫人とボルドーワイン。リカーゾリ男爵がキアンティのフォルムの誕生させた秘話等々。ローマ帝国崩壊以後の修道院、宮廷、商人が絡む食えない話、笑えない話にシモネタと話題が満載のような気がしてなりません。
読み終えた本を見ると、かなりの数の付箋が貼られています。後々の参考資料になると思います。そして、請謁ながらイタリア ワインかぶれの料理人より、訳者の幸田礼雅に一言、Chiantiをキャンティでもいいのですが、出来る事ならばキアンティとして頂きたい。よろしくお願いします。
こうなると、もう一つ塩野七生さんへ、ローマ帝国崩壊後の十字軍物語も終わった事ですし。ローマ帝国崩壊後の物流物語、特にワインの物語を書いてください。とは言っても、このブログを読んでいるはずもないのですが。しかし、読みたいな~。


ワインの格付けI.G.T.の生まれた背景

2013-02-08 10:34:18 | ブログ

先日、気になっていたワインショップにワインを眺めにいってきました。そこでは、たまたまイタリアワインの格付けの話をしているところに出くわしました。何気に聞いていると、それでいいのかなと思いました。ユーロの中では、いろいろな分野で規格の統一がされています。ワインに関しては2009年8月1日付実施で、上級ワイン(D.O.C.GとD.O.C.)と並みのワイン(I.G.T.とV.d.T.)の2クラス4区分が整理されて、地理表示のあるワインI.G.(D.O.P.とI.G.P.)と地理表示のないワインVinoの2クラス3区部になっているはずです。フランスやドイツもクラス分けは同じです。ただし、従来の規定が残っているものの、I.G.もしくはVinoのどちらかのクラスに合致するよう規格の変更がなされています。要するに、原産地(産地、品種、収量、期間)呼称を保護、産地表示を保護、瓶詰めされた国を保護と考えればよいと思います。メモを取っていた聴講者のノートには、このようには書かれてはいないと思います。注釈すべきはユーロ内の統一された規格ルールを説明しなければならないと思いました。

この中で、I.G.T.(I.G.P.の以前呼称)の扱いが問題になります。確かに並みのワインにはなっていますが、Indicazione(表示)Geografica(地理的)Tipica(典型的な、特色ある)の内容を見れば解ると思いますが。地理的表示のあるワインである事が解ると思います。一つにその場の話の中に出ていた、スーパー タスカンの説明においても、この部分が解ってないために、生まれた背景や経緯を説明しきれずに消化不良になっています。おそらく聴講者も、規定の中身が言葉だけのD.O.C.G.・D.O.C.・I.G.T.の羅列になっていると思います。この事は、I.G.T.の規定が生まれた背景を理解していないためです。このショップにはソライアが並べられています、それを見ると心中複雑な思いがしました。

以前に某ワインの教則本の間違いを指摘した事がありますが。話の進め方や解説が似ていると思いました。ちなみに、13年度版を見ましたが、D.O.C.G.・D.O.C.の一覧表での総数は変更になっていましたが。その中に、Montepulciano d’Abruzzoに赤とロゼがあると書かれています。しかし、Cerasuolo d’Abruzzoの扱いをMontepulciano d’Abruzzo Cerasuoloとしてロゼもあると解釈するのか、Cerasuolo d’Abruzzoとして独立したカテゴリーにするのか、注釈がありません。塩田正志 著書「イタリアワイン」の中でもあやふやな扱いになっていますが。イタリアのlaVINumのサイトの中では独立した項目になっています。注釈くらいは付けておくべきだと思います。なお、それ以外の指摘した箇所は校正されておらず、そのままの状態です。それにしても、イタリアワインがどうでもよい存在ならば、余計な解説はしてほしくはないと思っています。


ヴィヴェーラ社 エトナ ビアンコ サリズィーレ 2010

2013-02-06 10:29:54 | ブログ
Photo 今回の、VIVERA Etna Bianco Salisireはアルキネーリに続きエトナ ビアンコの試飲です。香りと味わいはアルキネーリと非常によく似た印象を受けました。コメントを書くとしたならば、アルキネーリは金柑、それに対してサリズィーレは輪郭のきりりとした甘夏柑と書き変えればよさそうです。それにミネラルの香り、フローラルな香りをサリズィーレに感じます。飲み頃を迎えているなと考えながら味わっていると。前回のアルキネーリはコンディショニングの不足が考えられます。
リストのワインを含め、今までのエトナはすべてエトナ山の北面になります。このヴィヴェーラのあるリングアグロッサは北東に位置し、イオニア海が見えます。サリズィーレの印象はアルキネーリより軽い感じがします。しかし、それは双方の個性だて考えています。ほぼ同じような土壌なので、テロワールの違いなのか、醸造の考え方の違いなのか、今は結論を出せませんが。
厚塗りをした、息苦しいワインが多いと思っていたシチリアのワインに対する受け止め方を刷新しなければいけないと思っています。今回もこれだけ酸が綺麗で重層的な味わいを展開されると、南イコール濃いワインというレッテルを張るべきではないと考えています。