イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

アマローネ デッラ ヴァルポリチェッラ クラッシコ “サントゥルバーノ”1997

2010-01-26 09:03:42 | 食・レシピ

記念日に開けるワインを今回は、アマローネ デッラ ヴァルポリッチェッラ クラッシコ “サントゥルバーノ”を選びました。それは、去年の12月のパーティーで抜栓して頂いたアマローネ“ヴァイオ アルマロン”が私の期待していた以上に仕上がっていました。その時に一番気になったワインがサントゥルバーノだったからです。
そのパーティーに抜栓するワインの構成を考えていたときに、まず思い浮かんだワインがヴァイオ アルマロン 97を最後にサービスすることです。そこから、3本目がヴァルテリーナ“チンクエ ステッレ”1997、2本目がバローロ“レ コステ”97、1本目にヴェルディッキオ“セッラ フィオレーゼ”2000、最初にフランチャコルタを抜栓する計画を立てました。実はこのヴェルディッキオが曲者で6年経過して、ようやく熟成香がつき始めているかダメになっているか確認をしたいと思っていたワインです。お客様にお出しするにしても、一定レベル以上の経験がなければ、ただのデットストックのワインと思われかねないので、時機を逸していたワインでしたが。今回はメインのお客様がワインに造詣が深く、なにより喜んでくれる姿が見に浮かんで来たので、一揃えの中に入れました。メインはアマローネとアラを組み合わせ。私の密かなたくらみであり、相性に疑問符を付けられるのは覚悟を決めて。これもアリだと思っている私は念願を果たすも結果は?
このよう経緯から今回はアマローネ“サントゥルバーノ”を抜栓することにしました。晩ごはんはマグロと帆立貝の海鮮丼。マグロの赤身をワインのスパイシーな味わいが引き立て、赤身の鉄分がワインのミネラルを調和してくれる。さらに、トロのかかった一切れがワインの艶めかしく凝縮された果実味を向かい入れ一体化し、帆立貝のほんのりした甘さが輪郭をさらにはっきりさせてくれます。酢飯の酸とワインの酸の楽しげな宴は、これらを巻き込みながら輪となり、ひと塊になり致福の時を過ごす。
ヴァイオ アルマロンとサントゥルバーノの比較は酸の輪郭はサントゥルバーノの方がくっきりしています。しかし、ヴァイオ アルマロンはスケールの大きな果実味が特徴で貴腐菌の影響であると思われるリキュールのような風味があります。


ジャコモ コンテルノ バローロ“カッシーナフランチャ”1996

2010-01-18 10:18:55 | 食・レシピ

ジャコモ コンテルノ バローロ“カッシーナ フランチャ”1996は、リリースされてから、ほぼ10年が経過をしたワインです。渾然一体になった香りは森の黒い果実以外に、思い当たる香りが見つかりませんが。しかし、奥深さはあります。今の時点で味わいは、果実味はフレッシュのままで、ようやく酸とタンニンが滑らになったところだと思います。私の能力ではこれだけ複雑になると、何と表現していいのか言葉が出てこないのが実情です。
それにしても、エイジングをして、その固さを和らげられたワインには独特の世界観があり。それらの様子を眺めることが、五感に感じることが、本来の楽しさではないかと思います。そう考えると、私にもこのワインを楽しめる資格が、多少でもあるかなと思います。
それは、飲み進んでいる最中に、ひたひたと広がっていく様子が美しいと感じました。黒い地面を遥か地平線まで七色に次々と変え、背中に感じる温かい微風は、そのまま前面に通り過ぎ、雪解けの萌える草のような躍動感が展開してくれたからです。こうなるルンルンな気分にさせられます。
前回のピコリットもそうであるが。ディテールを細々と言い当てることにあるのではなく、美味しく感じる鍛錬が大事であるような気がします。
今後、エイジングを重ねることで、更なる変化を期待できると思います。


コッリオ オリエンターリ デル フリウリ ピコリット “ドリゴ”

2010-01-14 10:24:05 | 食・レシピ

今回も、デザートワインです。ピコリット種から造られます。このブドウは、雌雄異体で結実が悪く一時期忘れかけた品種です。効率が悪いワインではありますが。その魅力を記憶から消し去ることができなかったワインであると思っています。事実味わうと、静かに楽しい愉快な気の置けない人達とゆったりと時間を費やす場面を想定してしまいます。何もこのワインに限ったことではなく。まったりした空間を共有できる趣味志向を共感した時に登場するワインが甘口ワインであると思っています。香りは蜂蜜でコンポートをしたいくつかの果物を連想しました。リストのコメントにはフルーツとしか書いてありませんが。思い浮かんでは消え、浮かんでは消えして果物を特定ができず。蜂蜜でコンポートをした果物という印象だけが空回りして、それ以上のことを書けなかったのが事実です。今まで、蜂蜜で果物をコンポートした経験はありませんし、香りを嗅いだ経験もありません。想像の中で浮かんだ言葉が“蜂蜜でコンポートした”。このことだけが転げて出てきたようなものです。もうひとつはナッツの芳ばしい香りです。複雑で特定ができず、苦し紛れに一言で片づけました。しかし、適切なエイジングの後に、受ける印象は今の時点であまり深読みする必要がないと思いました。味わいは立体的な美しい酸とほろ苦さは、美しいと思う彫像を鑑賞しているような気分にさせてくれます。絶妙な展開を繰り広げる味わいは長い余韻へと続きます。