イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

モスカデッロ ディ モンタルチーノ “フロールス”2002

2011-09-29 10:13:40 | ブログ

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カステッロ バンフィー社のモスカデッロ ディ モンタルチーノ ヴェンデッミア タルディーヴァ “フロールス”02(Moscadello di Montalcino Vendemmia Tardiva Florus)はドルチェ ヴィーノ(甘口ワイン)です。遅摘みされたモスカデッロから造られます。このブドウはいつしかモンタルチーノから消え去り、今は近縁種のモスカート ビアンコで代用をされています。モスカデッロは私の知る限りにおいては、まだ復活はされていないと思います。こういった甘口のワインは食後のデザートに合わされる機会が多いのですが。残糖はそれなりにありますが。しっかりした酸とほろ苦さが全体を引き締めています。だからこそ、私は、食中にもお楽しみ程度に添えられてもいいと考えています。最近は存在感のある白ワインにシフトしていることもあり、甘ダイやアラ、フグのような白身のしっかりした味わいの魚や仔牛肉に合わせられると思います。今回は前日に飲み残したワインだけでは飲み足らずに、引き寄せられるようにセラーから引き出してきました。秋の夜長に白々した心の隙間を埋めてくれるような温かなワインです。


アルト アディジェ ピノ ネロ “サルトネル” 2004

2011-09-21 10:03:35 | ブログ

04

カルダーロ社のピノ ネロ(Alto Adige Pinot Nero Saltner) 04を今回は味わいました。アルト アディジェのピノ ネロは、ブルゴーニュ風なワインとイタリア的なリッチな味わいと香り、透明感のある色合いがある、2つのタイプがあります。このワインは後者の方に入ります。ピノ ネロの特徴である、森の赤い果実の香りは非常に確認しづらいと思います。ファースト インプレッションに桑の実のような森の黒い果実やクランベリーの香りは豪華では無いが、膨らみのある華やかさがあり。八角に似たような、実山椒に似たようなスパイシーな香りを、どうしても特定することが出来ませんでしたが、同じような印象をアフターにも感じ、終始モヤモヤした気分にさせられました。それ以外は優雅な果実味、わずかに感じる洗練された柔らかなタンニンと最初は鋭く飲み進んでいくとどんどん柔らかくなる上品な酸を堪能することが出来ました。酸が柔らかくなり始めると粘着力があり七色に変化する金平糖のような甘さが感じられるようになり。この酸が最初から柔らかく感じられる時が来たら、どのような味わいの展開をするのかが楽しみです。


モンテクスダイオ ロッソ“カンポ アチプレッソ“

2011-09-12 10:08:59 | ブログ

Photo Poggio agli Scalzi社のMontescudaio Rosso “Campo a’Cipressi”はサンジョヴェーゼ70%とシラー30%を混醸して造られます。ワイン法ではサンジョヴェーゼ50%以上に許可された黒ブドウを50%までと定められています。馴染みの薄いワインですが。カンティーナはピサから海に沿って南側にあり。テッルッチオ社のルピカイアと同じコムーネにあります。
以前はイタリアのシラーをどのように説明してよいか整理が出来ないでいましたが。最近、その良さを理解が出来るようになったところです。10年も前のことですが。フォントーディ社の“ヴィーニャ デル ソルボ”と“フラッチアネッロ”をリストアップした時に、シラー100%の“カーセ ヴィア シラー”をサンジョヴェーゼの変わり種のような気がして、思わず買ってしまったことがありました。それ以来、シラーには興味を惹かれないまま、掘り下げることを怠っていた次第です。
このワインは、これだと確信があってリストアップした訳ではありません。あっても良いと思った程度のワインですが。モンテスクダイオの原産地呼称の中に、シラーに適合した土地があり、サンジョヴェーゼに合わせることで、その持ち味を生かせるワインになれる可能性を秘めているような気がしたからです。香りはサンジョヴェーゼに沿ったスミレやアイリスの香りに、チョコレート様な芳ばしい香りと土っぽい香り、アフターテイストに感じられる、スパイシーな香りは所謂シラーのスパイシーさとは趣が違うと思いました。


スラヴォニア オークの正体

2011-09-06 09:05:52 | ブログ

 イタリアで広く発酵や熟成に使用されているスロヴォニア オーク樽、この名称がおそらく産地であると思っていながら、深く考えもせずに、表記をしていました。しかし、今回ソムリエの呼称認定試験の勉強をしていると、クロアチア共和国のワイン指定原産地の中にスラヴォニア地区の表記があり、特徴の解説には樽材の産地でもある旨が表記されています。今までは正確なスペルが解らず、産地の場所も特定ができずに、勝手な判断でスロヴェニア産と表示していました。それと言うのも、インポーターのテクニカルシートには、スロベニア、スロヴェニア、スラヴォニア、スラボニアの表記がまちまちであったことをいいことに。ろくに調べもせずに、語句がその中でも同じ、スロヴェニア共和国産にして使用していました。これを境に表記はスラヴォニア オーク、もしくは、スラヴォニアンにします。<br/>

 これからの課題は、イタリアで広く使われている樽なり桶がクロアチア共和国のスラヴォニア地区産のみ流通しているのか。スロヴェニア共和国産の樽材の存在を調べなければいけないと思っています。もしスロヴェニアンの使用が確認されれば、その特徴の違いを知りたいと思います。