イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

ポリツィアーノ社のヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ2003

2009-10-31 09:57:00 | 食・レシピ

イタリアでは2003年は猛暑の年でしたが、このような年こそ造り手の真価が問われます。一般的には果実味が強く、酸の乏しい年といわれていますが。ポリツィアーノ社のヴィーノ ノービレ ディ モンテプルチアーノ2003はなかなか如何して、果実味だけが目立つワインではありません。骨格のしっかりした酸と優雅で滑らかなタンニン、味わいのバランスも良く。リリースされた当初はあいまいであったスパイシーな香りがジュニパーベリー、シナモンの香りであるとはっきり解るようになっています。そして、抜栓してから40分ほど経過してから酸に変化が現れ始めます。柔らかな温かさが燈るような表現しがたい、優しい温もりのある酸になり。それに引きずられようにタンニンにも、滑らかさにくっきりした輪郭が現れてきました。味わいも複雑さが増し、酔いも手伝って、いい塩梅に夢心地に。猛暑の年であっても、モンテプルチアーノの志向をしっかり見据えた造りは、お見事としか言えないと思いました。


バルバレスコ “ヴィニェート ブリク ロンキ”1998

2009-10-17 09:51:38 | 食・レシピ
ロッカ アルビーノで造られたこのバルバレスコは1998ヴィンテージのワインです。特別においしいワインを飲みたいと思いセラーから無造作に引っ張りだした1本でしたが。同じことを2月にもしていたことを飲んでいる最中に思い出し無駄な抜栓をしたと後悔しています。理由は前回の時点ではタンニンが舌にべったりとまとわりつき、飲み頃をまだ迎えていないと判断をしたからです。しかし、タンニンがまだこなれていませんが。特徴的な馨しく芳ばしい香りは丹念に練られて作られたココアを連想させ、森の赤い果実の香りはいまだフレッシュで透明感があります。酸は弾力のある柔らかさがあります。しかし、タンニンのざらつきが余韻の心地よさを台無しにしてしまい、早すぎた抜栓が勿体ない気持ちにされました。

オリヴィエート“トッリチェッラ”06、白ワインの追加。

2009-10-04 10:26:50 | 食・レシピ

一部の白ワインの掲載を保留にしていましたが。ようやく、すべてをリストに加えました。私の中にあるイタリアの白ワインはリリースをされた、その年に飲んでしまうが決まりのようになっていたからです。一時期の一部分のワインにはどうしようにもない苦みが全体のバランスを崩していたり、酸が急速に張りを失っていたり、魅力のないワインがありました。考え方を変えるのに、多少時間がかかりました。それは、セラーに寝かせて味わいの経過を記録する作業をどうしても経なければいけないと思っていたからです。古くはオリヴェートのように些細な造りのワインでも、瓶詰めしてから5年後に本来の飲み頃になるワインもありました。ソアーヴェにしかり、ヴェルディッキオにしてもリリースされてから僅かなコンディショニングで飲み始めてもよいワインはありますが。数年経過してさらに味わい深くなることもあります。造り手やヴィンテージの違いに問題はあります。保存さえ間違っていなければ、おおむねのワインは大丈夫です。
その中にあって今回はビジ社のオリヴィエート クラッシコ セッコ“トリッチェッラ”2006年です。約3年間セラーに寝かせていたワインです。香りはアプリコット、トロピカルフルーツ、缶詰のパイナップル(金属的な香りを伴っていたため)とかすかなハーブ。何といっても味わいに変化があります。とろっとした食感は1300円前後で売られているワインだとは思はないはずです。こなれた苦みに酸はちょっと心もない弱さがある部分が気にはなります。しかし今のところはバランスがよく保たれています。フルーティーなアフターテイストに心地よい余韻があります。比較的安価なワインをセラーで寝かせて熟成感を味わう、いいワインだと思います。