カルダーロ社のトラミネール アロマティコ “カンパネル”06はセラーに収められてから1年が過ぎ、そろそろ抜栓してもいい頃だと思い開けました。トラミネールにありがちな、ライチの香りが目立つのではなく、白桃、白い花の清楚な香りが一体感のある構成がされています。何よりもアルコール度数が14.5度もあるがフルボデイを気取らず整然と物腰の柔らかなエレガントな装いに好感が持てます。口当たりに軽い感じはしますが徐々に酔いのスピードが速まり、飲み終える頃には、いい具合に酔いを楽しんでいました。もう少し酸があってもよいのではないかと思いましたが。もう少しエイジングをし、さらに果実味が一皮むけた時に、酸のバランスが絶妙に取れているのではないかと思います。3年後くらいに楽しさが来てくれそうな気がします。この頃の前後に普段飲みしていたナボナ社のトレッビアーノ ダブルッツオは去年の8月にセールがあり5ケースをまとめ買いをしたワインです。酸が強くその事がバランスの悪いワインにしていたのですが。3月に入りようやく酸の硬さが取れ、果実味の濃さに美味しさを感じ始めると、ある時はトラミネールに、その時はソアーヴェに、はたまたフィアーノに、その気にさせられるイタリアならではのラビリンスを堪能させてくれました。価格はカンパネルの3分の1です。
2月に買い置きした数点のワインの中から、さっそく抜栓したラ ビアンカーラ(La Biancara)社のイ マシエリ(I Masieri)はガンベラーラのエリアにありながら、D.O.C.の規格を名乗らず出荷されるワインです。ソアーヴェの東隣の領域でブドウもガルガネガ種を主体に造られます。二酸化硫黄は基本的に使わないナチュラリストですが、今回の2007は少量の添加がされています。ローストしたアーモンド、コンセレートされた黄桃、エニシダの香りはオブラートに包まれたように間接的に鼻腔を満たします。酸はさらりとしていますが、果実味はボリュウームが大きく、バランスが良くないように思えます。個人的には、もう少し酸にバネがあれば好ましい感じを受けました。アフターテイストも心地よく申し分のない余韻があるのですが。スケールの大きい果実味が一歩間違えると、ブリブリした品のない厚化粧をした果実味に思えます。十分なコンディショニングをしていなことが原因かもしれませんが。私の趣味的に合わず、判断にとても迷います。とはいっても、美味しいワインです。もう1本は“ピーコ”です。解放桶での発酵の後、大樽で12ヶ月間熟成され二酸化硫黄を無添加で瓶詰めされます。当初よりコンディショニングを長く取らなければと考えていたのですが。箱から取り出すと、細かい浮遊物が多数舞っていました。瓶底に溜めるのに2ヶ月くらいは掛かりそうな具合です。しかし、このようなワインは楽しみが先にあるようで嬉しくなります。