先日、お客様にバルベーラ ディ ダルバ“パパゲーナ”04を抜栓して頂きました。私が想像していた以上に酸の出来がよく、これならば、タンニンのネッビオーロ、果実味のドルチェット、酸のバルベーラというように、その良さを比べることができると思いました。
その最中に頭の中を過ったワインが、“ヴィーニャ ディ フォンタッレ”でした。キャンティ クラッシコの区域内の北に位置する単一畑のサンジョヴェーゼ100%で造られます。私の中の知識として、味わいが柔らかでほっそりした印象が重なっているからです。実際は似て非なるワインではあります。バルベーラの酸はシャープペンシルの4Bの芯のように硬質でいながら滑らかで輪郭がくっきりしています。キャンティ “ヴィーニャ ディ フォンテッレ“の酸はほっそりしていますが優雅さがあります。スミレ、アイリスのそよそよと上品に漂う香りに、カカオ、クローブ、ミネラルの複雑に交差した香り。リッチで濃密な酸とタンニンは無駄がなくほっそりと構成されています。優雅な味わいに華麗な果実味のアフターテイストにゆったりした余韻が続きます。
フレッシュな果実味がどこまで持続しくれるかは、わからないが、枯れて、なお、その痕跡を感じさせてくれると嬉しいのだが。
バンフィー社のサンタンティモ“スームス”はサンジョヴェーゼ45%、カベルネ ソーヴィニヨン40%、シラー15%をバリックで熟成されます。カベルネとシラーを意識せずに味わうことができたワインであり。モンタルチーノ地区でサンジョヴェーゼに不適な土地にカベルネが上手く適合することを知らしてくれるような造りになっていると思います。シラーの分量にしても、脇にあるのではなく華やかさがサンジョヴェーゼを可愛らしく見せてくれる演出をしているようです。カベルネの役割が私には分かりづらく感じられるくらい、シラーの立ち位置が絶妙だと感じました。シナモンスティック、バラ、桑の実、木イチゴの香り。タンニンは引っかかることなくシルキーな滑らかさがあり、柔らかくうららかな酸、スパイシーなアフターテイストにゆったりと心地よい味わいがあります。風味はフレッシュで枯れた雰囲気がありませんが。還元臭がちょっと気になりました。しかし、これからのさらなる熟成が楽しみなワインです。