イタリアワインかぶれの料理人

イタリアワインとコーヒーが大好きな料理人が、呆れるほど愉快に溢れるイタリアワインの魅力を伝えていきます。

待望の塩分2.5%のパンチェッタ

2013-06-29 08:54:24 | ブログ

Pacetta 長年取り組んでいた自家製の生ハムをようやく塩分2.5%(理論上)にする事が出来ました。28日からワインセラーで風干をしています。とはいっても、発酵が順調に進み熟成されればいいのですが。カビが生えたり、腐敗したりする事も十分に考えられます。
以前は塩分濃度が10%を切る事が出来ずにいましたが。2年ぐらい前に、思い切って造りか方を変え、肉をまず、塩漬けにしてから、ソミユール液に付ける方法にしました。これで5%くらいの塩分濃度にする事が出来ました。とは言っても、最終的な塩分濃度が解らずにいましたが。先々回より6時間ごとに液体の塩分濃度をブリックス計で測り、塩漬けの時間と、液体に付ける時間の統計を取っていました。今回は3リットルの液体に24時間漬ける事で塩分濃度が2,5%で安定したことを確認してから風干のためにワインセラーに置かれています。風干をすることで重量が減ります。ですから、塩分濃度はもう少し上がりますが。20日間くらいこのまま熟成が進んでくれればと、願うばかりです。
写真では、解りづらいと思いますが。赤身の部分が、既に生ハムの雰囲気を醸し出しています。たぶん、上手く行くと思います。


オリオウス2007

2013-06-27 09:16:24 | ブログ

Photo 今回抜栓したイタリアワインはヴァッレ ダオスタ州のオリオウス(Orious)です。ヴュィレルマンというブドウから造られ、トッレッテというプティ ルージュを主体に造られるワインの一部を構成しているブドウでもあります。バックラベルの写真から、見て取れるようにフランス語が公用語に使われている州です。このヴァッレ ダオスタのワインは5年くらい前から見かけるようになり、2010年に3種類を試飲用に購入しました。プティ ルージュは短期間の熟成で結果を出してくるワインなので、これくらいのエイジングで飲み頃を迎えているのではないかと思い、抜栓をする事にしました。
ワインリストの変更に伴い、コメントは削除されています。リストのコメントは「ヴュィレルマン100%をステンレスタンクでアルコール発酵の後、フレンチオークのバリックで12ヶ月間とステンレスタンクで3ヶ月間の熟成をされます。マラスキーノチェリー、桑の実、ブラッドオレンジの豊かにふっくらした重厚な香り。しなやかに包まれる洗練された酸とタンニン、特徴的な膨らみのある果実味は心地よい苦みを残し、調和のよい穏やかな味わいに心地よいアフターテイストと余韻が続きます。」のようになっていました。
香りの印象はより鮮明になっています。ニュアンスとして感じられるクローブや黒コショウのスパイシーな香りはアフターテイストに、その存在をしっかり感じる事が出来ます。タンニンは丹念になめされ柔らかくなり、オレンジピールの爽やかな苦みが入れ替わりに感じられます。何といっても、ワイン自体に粘性があるのに、口触りがさらりとしています。グラスを回し液面の揺れは、実にゆったりと輪舞しているように見え。この液面を見ているだけでも、優雅な気持ちにさせられます。


フェウディ ディ サン グレゴリオ、タウラージ “セルヴェ ディ ルオティ”1997

2013-06-12 09:51:23 | ブログ

Taurasi1997 今回のイタリアワインは、タウラージ “セルヴェ ディ ルオティ”(Taurasi “Serve di Luoti”)1997です。既に飲み頃を迎えています。
店を再開させた頃、トスカーナ以南のワインはあまり重要視をしていませんでした。このアリアニコ種から造られるタウラージもタンニンの苦さが、咽喉に“へ辛い”ような違和感を残し、それがどうしても美味しいとは思えませんでした。しかし、1997からそれまでの栗の樽から、フレンチバリックへ変更され、醸造の方法も変更されたと思います。これを境に将来を楽しみに出来るワインへ仲間入りをしました。リリースされてから12年たち、当初に想像していたテクスチャー以上の変化に嬉しさを隠しきれません。
コメントは一部変更し以下のように書き直しました。「アリアニコ100%を新樽のアリエ産のバリックで18ヶ月間の熟成をされます。香辛料やヴァニラを思わせるエレガントな香りと完熟したプラム、ベリー系の個性的で芳醇な香りがバランスよく展開します。囁くような可憐な酸と上質で滑らかなタンニン、マラスキーノ チェリーやプルーンの風味が濃密に絡み合う味わいには、力強く心地よいサワー クリームやココアのアフターテイストと長い余韻が続きます。」
南イタリアのワインは、ガッツリ系であるような錯覚を持っていますが。それを打ち消してくれるようです。つい先日も、最後のアリアニコ デル モリーゼ “コンタード”2000を抜栓して頂き、ご相伴に与ったのですが。このクラスのアリアニコでもエイジングをすることで味わい深さが増す事を知らされました。これからの課題は、4州にまたがるアリアニコから造られるワインの特徴をどのように説明するかです。


サンジョヴェーゼ ディ ロマーニャ スペリオーレ リゼルヴァ “マスティーノ”2009

2013-06-01 10:16:59 | ブログ

Photoサンジョヴェーゼ ディ ロマーニャ スペリオーレ リゼルヴァ “アスティーノ”(Sangiovese di Romagna Superiore Riserva Mastino)は今回、新しくリストに加えたイタリアワインです。以前にプルーノを直近のヴィンテージを4800円の抜栓価格を付けていたのですが。ユーロ安のために価格が上昇し、元に戻るも、今度はワインの本体価格が上がり、手の出し辛い価格帯に入ったワインになり。5000円以下のサンジョヴェーゼ ディ ロマーニャをリストに加えるために2年前から試飲会のたびに目を付けていたワインです。
サンジョヴェーゼ ディ ロマーニャは安価なシャボシャボなワインのイメージが強く、Aviとのファーストコンタクトの時も、Prunoとの出会いの時も、立ち位置を決めるのにとても時間がかかったワインでした。トスカーナのサンジョヴェーゼが夏の花とするならば、エミリア ロマーニャは春の花の香りがするような気がします。味わいも白玉団子のような柔らかさがあり、上品とか優雅といった表現より、ほのぼのした印象を受けます。

ちょっとしたエピソードがあります。今回のワインは1月の展示会の時にオーダーし、今届きました。先日、同社の展示会があり同じ銘柄のワインが展示されていました。ずんぐりむっくりした瓶があだとなっているようで、打栓から手元に届くまで立てた状態になっているようです。ですから、コルクとワインがなじまずに、コルクの乾いた臭いが付いていました。デカンタージュをするか注意書きをしておけば良いのに、何もせずに、コルクも捨てているので状況を推察するしかありませんでした。そこに、どこのお店の人か解りませんが担当者に香りと味を確認していました。私はたまたますぐ横にいたので、コルクが乾いているために、このような状態になったのでは、と説明しました。普段は、余計なことは言わないのですが。今日ばかりは何回も味と香りを確認し、今年の1月に初めてオーダーを出したワインが、トラブルに巻き込まれたようで、つい余計な講釈を垂れてしまい、「アイタ!」の状態になってしましました。私には、それなりに考え抜いて選んだワインなので、メッセージを正確に伝えてほしいと思い、取った行動ではありますが。最後は一瞥をくらい「変なおじさん」状態になり、余計な口を挟まなければと思いました。このような時は、ブッショネと処理するか、健全な状態ではないが対処の方法はある、とするか、悩ましい問題でもあります。