今回、抜栓したイタリアワインはアリアニコ デル ヴルトゥレ “レ マンフレディ”(Aglianico del Vulture “Re Manfredi” Taglio del Tralcio)2013です。このTaglio Tralcioは「枝を切断」の意味、一部を干しブドウの状態にして造られます。リストにはない、M. Mから頂いたワインです。
私にとってのヴルトゥレは、性格の違う2つの区域に分けています。レ マンフレディは主に粘土質、若いうちはアタックが強く、味わいはふっくらしています。それにしても、今まで何故、干したブドウから造られるのか、試飲会では解らなったワインでした。しかし、今回、少し見えて来たのは、濃度を上げるのではなく、酸にボリュームを与えるためではないか、と感じ。ボトムのワインであっても造りに工夫の跡が見えました。
昨夜はコーヒー豆を焙煎した後で、クィーンスマトラの芳ばしい香り、ワインのココアのような香りにバルサミコの濃密さは、グラスの中で綺麗にハーモニーしているようでした。ふくよかな酸とふっくらしたタンニンに果実味。良く出来たワインだと思います。
今回、抜栓したイタリアワインはブルネッロ ディ モンタルチーノ“チェルバイオーナ”(Brunello di Montalcino “Cerbaiona”)1999です。最近ちょっと元気のないカンティーナ、造り手が移り、それに伴う解釈の変化を求められているのかも、しれません。
コルクを引き上げた瞬間に、フルーティーでフローラルな香りが向かってきました。最初に感じた香りは白いバラ、後は寄せては返し寄せては返す渚のように次から次へと移り変わる香りに、複雑過ぎて解らなくなっていました。しかし、単純に特定できない状態である、とも言えますが、しばらく居心地の悪さを感じていました。30分過ぎた頃からヨウド香を拾い始めると、其処から逃げ出せなくなり、海を思い起こし、小石を洗う渚になり、そのリフレインの中に酔って冷静さを失っていく自分が居る状態。そのような訳で後半をよく覚えていません。昨夜の空瓶にわずかにへばり付いているワインの香りは桑の実、プルーン、クローブ、黒胡椒、レーザー。ヨウド香の残骸も感じられず、抜栓してからのハングタイムをもっと長く取っていれば、と悔やんでいます。
味わいは。硬さを崩したような柔らかな酸にほっくりしたタンニン、ふくよかな果実味は穏やかでシンプルで懐の深い味わいがあります。当然、酔い心地は良かったですよ。
今、ワインの展示会から帰ったところです。珍しくフリウリのピニョーロの試飲がありました。このワインは非常に気難しいと言われていますが、ステンレスタンクでチャチャと造ったような軽やかに感じました。しかし、其処はピニョーロ、目の前に直角の壁が立ちはだかるような緊迫感ある味わいがあります。それにしても、すぐ飲めてしまうピニョーロは肩透かし遭ったような感じがします。
手前から2番目のワインは、シチリア州エトナのピノ ネロ、3番目はネレッロ マスカレーゼ。ネレッロ マスカレーゼはブルゴーニュに例えられた時期がありましたが、ミネラル感がちょっと違うかな、と思っていました。しかし、相通じるものを感じるワインでもあります。今回は初めて飲み比べが面白い関係になっているように思えます。各1ケースを発注しようかな、と思っています。