今回抜栓したイタリアワインはバローロ ヴィーニャ ラ ローザ (Barolo Vigna la Rosa)1997です。フォンタナフレダ社は1999年にワインの大幅な見直しをします。その前哨戦が1997年から始められています。前任のエノロゴが仕込んだワインを引き継ぎの後任のエノロゴが途中から熟成の工程を変更しています。今までの大樽での熟成からバリックや新樽を積極的に使用し始めた時期で、モダンバローロへ移行する最後の組かと思われていましたが。今にして思えば、基本は大樽熟成であるが、新たな表現を見つけ出していることが、今回飲んで解った気がします。バローロはアルヴェイザー型の瓶を使用していますが。フォンタナフレダは独自の形状をした瓶を使用しています。写真から解りづらいかも知れませんがコルクにはTENIMENTI DI FONTANAFREDAの文字がすでに刻印されています。
香りはとにかく奥行きがあります。複雑になり過ぎているために、特定することが困難で、フルーティーとしか表現ができません。しかし、7から9くらいの香りの線が意識の中に、とめどもなく緩々と伸びていくのは解ります。引き込むでもなく、抱きかかえるでもなく、只管に奥へ奥へと進んでいくような印象を感じました。バローロによくある、ドライフラワーの香りの印象はありません。息遣いが聞こえてくるような、フレッシュな香りと味わいがあります。抜栓したては、酸が覆いかぶさるように占めていましたが。10分くらい過ぎたくらいから、靄が急に風で飛ばされたように、クリアーで滑らかな酸とタンニンを感じることができました。グラデーションが豊かで深く、生き生きとした味わいがあります。余韻も深みに持っていかれるような感じがありました。
今回のイタリアワインは、ヴァッレ ダオスタ コルナレン(Vallée d’Aoste Cornalin)2008です。この州はフランス語圏に入っているため、イタリア語もフランス語も使われている州です。ボトルの上の二列がフランス語で、以後の小さく書かれている文字はイタリア語で表記されています。4年前にアンスティトゥのヴイッレルマン、マヨレと一緒に試飲用に各2本を取り寄せたワインで。その中で唯一エイジングをしっかり済ませてから試飲をしようと思ったワインです。今にして思えば、他の2本もこれくらいのエイジングを施してから抜栓をすれば、違った一面を見ることが出来るのではないか、と思っています。
最初に飛び込んできた香りは桑の実です。その後、瞬間的に感じた香りは木です。コメントに書いてあるような胡椒、甘草、ヒノキといった香りではなく、桜林の中、ただし花の香りは清楚な白い花の香りです。しかし、桜の木の香りとは書きましたが。確信があったのではなく、そのように思い浮かんだだけの香りです。このことは、次回の課題にしようと思っています。それは、ワインを入手しやすいインポーターが取り扱いを始めたからです。そして、コメント以外に変化しているのは、果実味にスケールの大きさを感じなかったことです。味わいのバランスが整うと、「調和のよい」の表現が、まさにぴったりだと思いました。