昭和30年代のオリオンズで印象に残る投手を挙げて見ます。球の速さベスト3で言えば、この3人になろうかと思います。先ずは、長身左腕からの快速球を武器とした小野正一です。やや制球には難がありましたが、35年優勝時の快刀乱麻ぶりは忘れられるものではありません。この年以外にも20勝以上の勝ち星を挙げたシーズンもあり、その体型、投法からパの金田と称されたりしていましたが、少なくとも35年に関しては、小野正一の方が勝っていたと思います。活躍したと言えるシーズンは、僅か1シーズンのみでしょうが、ディックディサの、粗削りながらも、非常に重く且つ速い球も想い出に十分残っています。決して派手な活躍はないものの、若生智男の整った投球フォームからの速球の威力もかなりのものでした。又、球速はさほどではないものの、中西勝巳の強気に攻める、切れ味鋭い投球も印象的でした。又小柄な左腕、三平晴樹も活躍したシーズンこそ短いものの、その名前と共に忘れがたい投手の一人です。30年代後半、台頭して来た坂井勝二はなで肩、細身の体型、更に優しそうな容貌からは、想像も出来ない程、打者の内角を鋭く突く、物凄く強気の投球スタイルでした。39年移籍して来た通算320勝の大投手小山正明は、球速こそやや衰えを見せていましたが、抜群の制球力でその年30勝を挙げています。以上多くの好投手が存在しましたが、30年代のオリオンズのエースと言えば、矢張り小野正一になろうかと思います。
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