榎本喜八（2)

今回は私の知り得る限り、最も穴の少ない打者としての榎本喜八に触れたく思います。昭和35年のシーズン、彼は開幕から安打を量産し、記憶に誤りがなければ、確か100打数達成時点で39本か40本の安打を放ち、素晴らしい打撃をしていたと思います。それまで多分何度か、彼の打撃を見ている訳なのですが、33年、34年当時の大毎オリオンズは山内一弘、葛城隆雄、田宮謙次郎（34シーズンのみ）らの陰に隠れ今一つ印象は薄いものでした。しかし記録を調べて見ると、高卒の新人の年30年に、投高打低の当時としては、驚くなかれ0.298という打率を残し新人王に輝いています。その後やや低迷があったものの、本来の実力発揮が35年だったと思います。その年初の首位打者を獲得し3割打者の常連になっていきます。次回は彼の非の打ち所のない打撃フォームに就いて触れたく思います。