totoroの小道

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資料の提示の仕方

2009-06-09 06:06:48 | 社会

5年生 社会 米作りの盛んな庄内平野

この日は、米作りの授業のまとめです。これまでの学びのまとめと、日本という国全体から見た米作りについて学ぼうと思います。

その際に使う資料は、次のグラフです。(教科書の単元の最後に載っているもの)

このグラフを大人が見れば、日本人の米離れが進み、それに合わせて生産調整を行っていくので、米の生産量も徐々に下がりつつあることが読んでとれます。
その中から、生産調整が大事であること、需要と供給のバランスで農業が成り立っていること、しいては食糧自給率を上げなければならないこと..等に気付いて欲しいと思います。

しかし、子どもは案外グラフから、そうした大切なことを読み取る練習をしたことがありません。
ただ、このグラフを見ても、生産量が少しずつ下がっている。消費量も少しずつ下がっている。ぐらいしか読み取れません。

グラフから、狙ったような気づきを引き出すには、このグラフだけで1時間かけて学ばなければなりません。そうなると、資料の与え方の工夫が大事になります。

 

そこで、私はグラフを加工しておきます。
まず最初に与える資料は、こんなものです。

今から50年前です。お米の量を表したグラフです。と説明します。

このグラフの赤線は何を表しますか?
「生産量です。」「農家が作るお米の量です。」
このグラフの青線は何を表しますか?
「消費量です。」「私たちが食べるお米の量です。」
と、まずこのグラフについて説明します。

それぞれ何万トンですかと聞きます。

ほぼ同じ量だ。
だいたい1250万tだ。
でも、ちょっとだけ消費量が多いね。

これだけで、こんな会話が生まれます。

そのとき、一人の男の子が、このグラフはおかしいと言い出します。
「あのね、食べてる量の方が、作っている量より多いのはおかしいよ。」
しかし、他の子は、何を言っているのか分かりません。
そこで、もう一度言ってもらいます。
「あのね、食べている量より、作っている量が少ないのはおかしいんじゃない?」
......
その声につられて、他の子ども達もそのグラフをもっとよく見ます。

それでは、この点のようなグラフでは分かりにくいかもしれないから、もう少し先を見せます。

今度は、他の子ども達もそのことに気づき始めます。
「さっきR君が言ったけど、消費量の方が多いのはおかしいと思います。」
「だって、作った量よりたくさんは食べられないはずでしょ。」
「そうだね。わずかだけど、作った量よりたくさん食べるのはおかしいよ。」
「作っていない分が、どうしてあるの?」

そこで、どうしてその差ができるのかを考えさせます。

①ご飯を炊くときに増える。
②だれかからもらう。
③よその国へあげる。
④よその国から買う。
という4つの意見がでます。
多数決を取ってもいいですかと聞くと
「先生、周りの人と話させてください。」
といい、グループで相談し始めます。

多数決をとります。
1人以外は④よその国から買うを選びます。
ここは、私が解答を説明します。(それを解き明かす資料を渡していないため)
正解です。足りない分は外国から買ったり、前の年に余ったお米を使ったりしています。

 

このあとどうなると思う?
「う~ん、どうなるの?」
「先生、もうちょっと先を見せてよ。」

「あっ、ここで消費量と生産量が同じになった。」
「これで、お米が足りないで済むね。」
「でもさあ、このまま行くと、今度はお米が余るようになるんじゃないの。」
「そうだね。赤はもっと下がりそうだから、きっとお米が余るよ。」

 

とれどれ、この先を見てみようね。

「ほらね。予想通りだよ。」
「今度は、お米の方が多いから、外国から買わなくていいね。」
「うん。日本のお米は安全だからね。」
「おいしいしね。」
「でもさあ、余ったお米はどうするの?」

.........................

「外国に売ったらいい。」
「そうだよ。足りないときに外国から買うんだから、余ったら売ったらいいよ。」
「日本のお米はおいしいから、売れるよね。」
ところが、にほんのお米はほとんど売れないんですよ。
「えっ、どうして。」
「おいしいし、農家の人が工夫して作っているのに。」
どうしてだと思いますか?

....................

じつはね、日本のお米は外国のお米に比べて、値段が高いのです。
「そうかあ。高いと売れないんだ。」
「どうして、日本のお米は高いのかなあ。」
「それは、農家の人が農薬を使わないで、堆肥を作って与えているからだよ。」
「それに、よいお米を作るために田にパイプを埋めて、水を管理している...」
「いろいろ、工夫している分、値段が高くなるんだ。」

それでは、お米が余ると、困るよね。
「余ったお米は、来年食べればいいじゃん。」
「だって、来年になれば、またおいしいお米ができるんだよ。」
「そうかあ、じゃあ、お米をつくる量をちょっと減らしたらいいんじゃない。」
「どうやって減らすんだよ。」
「あのさあ、今まで田んぼだったところで、お米じゃなくて野菜をつくったらどう?」
「確か、堆肥のために、豚も飼うってのっていたよ。豚小屋にしたらいいよ。」
「じゃあ、田んぼを少しやめて、畑や豚小屋にしたら、丁度よくなるんじゃないの。」

それじゃあ、この先どうなるか、見てみようね。

「ほらね。やっぱりお米作りをすこしやめたんだ。」
「その分、田んぼが減って、畑が増えた訳ね。」
「でもさあ、このグラフの傾きを見ると、この先またお米が足りなくなりそうなんだけど...」

どれどれ...

「なるほど、足りなくなると、お米作りを増やして、多くなるとお米作りを減らすんだ。」

「きっと、それは、田んぼを増やしたり、畑を増やしたりして調整しているんだね。」

 

そのとおりです。そうして、今日までお米の量を調整しながら生産してきました。
そうして作る量を加減することを「生産調整」といいます。

これが教科書に載っている資料全体です。
でもね、よく見ると生産調整調整しながら、大事件が起こっているのだけど、わかりますか?

「えっ、大事件。何だろう?」
「だんだん、生産量も消費量も減っているね。」
「生産量はなだらかに減るけど、消費量はでこぼこだね。」
「減った分は、食べないってこと?」
「いや、きっと、その分をパンや....」
「スパゲッティや、麺もたくさん食べるようになったんじゃない。」
「そうだね。お米だけ食べていたのが、いろいろ食べるからお米は少なくてよくなったんだ。」

いいことばかりに気付いたね。では、この先の未来を予想してみませんか?

じゃあ、そのみんなの予想をこのグラフに入れてみるね。

こんなふうに、それぞれのグラフの傾きをとって、それを延長してみます。

すると、こんなグラフになるね。
「やっぱり、もっとお米作りは少なくなる。」
「消費量も少なくなっていくね。」
「もっと、減りそうだね。」

こんな感じになるのかな?
でもさあ、これって大事件だと気付かない?

「えっ?大事件??」
じゃあ、ここにもう一本線を入れてみるよ。

「わあ、いつの間にか、米作りが限りなく0になっちゃった。」
「日本の国の田んぼが、ほとんど畑になっちゃうんだ。」

でもね、もし、外国が小麦とか、トウモロコシとかを売ってくれない、売れない幼になったらどうするの?

「一度田んぼをやめたら、直ぐには田んぼには戻らないって聞いたことがあるよ。」
「そうなったら、主食がなくなっちゃう。」
「もっと、日本人はお米を食べなくちゃ。」
「私のうちは、毎朝パンだけど....。」
「給食にお米が出るのもそのためなんだね。」

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1 コメント

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教育問題の解決策 (田代由起子)
2009-06-09 10:48:48
日本の教育に携わっている方々に、今アメリカで話題になっている教育法について知ってもらいたいと思い、メールさせていただきました。それは、授業中に教師と生徒が瞑想する「静寂の時間」プログラムです。

瞑想を始めると、心と体は深く安らいで落ち着いていき、ストレスが取り除かれます。それによって、生徒のストレスに起因する、いじめや学級崩壊、不登校といった問題が起こらなくなるのです。瞑想で学校の問題が解決するなんて信じがたいことかもしれません。ですが実際にそれが起こるのです。次のビデオは、そうした学校の実例を紹介しています。

カリフォルニアの学校のビデオ「瞑想が荒れた学校を救う」(8分):
http://jp.youtube.com/watch?v=fI3TbS4b_cs

アイオワの学校のビデオ「瞑想によって理想教育を実現」(14分):
http://maharishi.news-site.net/MVC/MaharishiSchool_short.wmv

この全く新しい教育法に関する講演会が、東京・大阪・広島の三都市で行われます。ぜひ教育関係者の皆様にご参加いただき、この教育手法の有効性についてご検討いただけますと幸いです。

テーマ「生徒の意識、創造性、脳の全体的開発」
・東京:6月18日(木)品川プリンスホテル
・大阪:6月16日(火)ANAクラウンプラザホテル大阪
・広島:6月12日(金)アステールプラザ
※開場13:30pm 開演14:00pm 閉会16:00pm
参加費:2000円(教育関係者は無料)
主 催:デイヴィッド・リンチ財団教育会議・日本事務局
詳細はこちらのサイトをご覧ください。
http://www.japan.stressfreeschools.org/

マハリシ総合研究所
田代由起子
ta-bo@maharishi.co.jp
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