フイールドの立て看板に虫が並んでぶら下がっていた。ヒオドシチョウの幼虫である。エノキに大発生して葉を食べつくしつつヤマガラに食べられつつも蛹になるまでに成長できた個体たちだ。
知人のS氏から「蛹になるときは食樹からかなり移動する」と聞いていたから周辺を探ってみた。バイオトイレのネットフェンス、トイレの庇、草むらの中、クワやクヌギの枝等々、至る所に姿を確認できた。目星を付けなくとも体色が黒いので探しやすい。
複数のエノキに生息していたから、どのエノキからの個体か確認しようも無いが、個体から至近のエノキまで長いものは10mは移動している。移動面も平坦面ではなく地上は草薮になっていたから、先の見えない旅をしてきた事になろう。コロニーで生活していた時期は終わり、これからは独り立ちだ。
蛹になると決めた場所の高さや位置関係・環境など、特に共通点は認められなかった。多様性を持つことでリスクの分散を図っているのだろうか…。まだ枝にいた頃の終齢幼虫、ひと声出すと一斉にピクつく。危険と感じると体を激しく動かす幼虫の話を読んだ事があるが、この事例もその内に入るのだろうか。まあ、どうでもよいか。