フイールドに植樹した木々が成木の風格を出し始めたし、林の風情も感じられる。何よりもオオルリ、キビタキ、サンコウチョウなどが至近に姿を見せるようになった事が実証していると言って良いだろう。
そこで再び巣箱を設置してみようと考えホームセンターに板材を見に行ったのだが、杉材でも結構高価になってしまうのだった。ひと箱作っても千円は飛んで逝ってしまうのだった。一部は交付金で賄うことを代表から承諾をいただいているけれど、とりあえず新作の試作をしてみた。主題は「安近短」である。
巣箱の設置は不動産屋の商いに似て非なるところがあろうけれど部屋を用意する立場は不変だ。不易流行が正しいのかもしれないけれどアバンギャルドも必要だろう。鳥たちだって生息圏を意外なほど広げているし適応力はあるはずだ。
そこで年金世代やお小遣いに乏しい青少年世代にとって「お財布にやさしい巣箱」を考えてみた。石油由来の製品を使うことでエコロジーに逆行すると観る向きもあろうけれど、もともとこの世界を席巻するほどの流行りものではないし、住宅提供を容易にすることは動物福祉にも寄与するはずである。ましてや足跡が環境破壊しかない環境教育団体の活動よりは良かろうて。
昔、「ハウス550」とか言ったプロジェクトが鳴り物入りであったが、税金をつぎ込んで550万円の住宅を手に入れた下々はいたのだろうか。天下り組織と関連企業が吸い取っただけのような気がしてならない。しかしながら「巣箱250」は独立個人の業態であるからして阿漕な真似は決して出来る余地がない。まあ、己の財布に寄生したところで旨味など全く無いのだから。
安価で手近に短時間で完成する巣箱の試作品は以下に示す。実績は無しの入居無保証品であるが、何とかパレスほどひどくはないはずだ。廉価良品を生むのがわが日本、中小企業の底力。村社会であることのおもてなし、忖度・・・。
縦型 同じ鉢で縦横製作するのが比較に適当と理解していても「お洒落」に目覚めたお爺としては散財もする。
合掌の屋根を作ってみたが手間がかかりすぎるので平らにした。重さを支えるに底部の支持も必要で、作りとしては簡素化できていない。しかるにデザインとしては小生好み。鍔(縁)の無いタイプなので横取り付けは出来ないのだった。
横位置の取り付けは手間かかりでも縦位置での簡素化は可能だ。鉢側面を板に縦3カ所程度ネジ止めすれば下支えが不要で、屋根も前向き傾斜だが傾斜が付く。蝶番と留め具は従来通りで良いだろう。この案が妥当かもしれない。結局は一晩経過して反省、「安近短」であることを肝に銘じて作り直した。支持棒を外し簡素化できたに見えるが縁の無い鉢は屋根板と蝶番、固定金具が余分に要した。こうなると好みの範疇になる。
横型の高級鉢 デザインポットでの横型。取り付けは3本のネジのみで巣の出入り口は底部の格子を切り取って開けた。この6号鉢で切り取り縦30mmなのでカラ類に大丈夫な大きさだ。取り付け板との間に水抜き溝を切ってある。巣内の清掃は止めネジを外して取り付け板から分離し行う事になる。掛け金を外せば覗けるタイプには出来ないものの育雛期に覗く馬鹿もおるまい。巣材は横出しになるから標本を採るには傷めずに済むだろう。
廉価版横型 菊鉢6号使った。7号鉢では大き過ぎる感がある。これも水抜き溝を削り込んでおく。出入口は中央の切り抜きで丁度30φとれた。上方部での出入口でないことに気が向くけれど、孟宗竹の横筒に巣作りしたキビタキも見ているから心配はしていない。この鉢の価格は200円、べニア板は古材で傷み止めにペンキを塗った。あり合わせなので防錆塗料である。色彩を嫌われる心配があるけれど「物は試し」で金掛けない。取り付けは棕櫚縄で幹に結ぶつもりでの4か所の穴がある。
どちらにしても試作品だし、入居するしないは当人の決定事項なのだ。
この菊鉢7号、8号を縦型で使えばムクドリやアオバズク程度の鳥にも使えると考えているけれど製作は予定なし。今回の仕様は取り付け板に取り付けて幹に括るとしたが、作り方によっては鉢に取り付け穴を開け直接結わえる方法も取れるだろう。この場合は縦型取り付けになろうか。このようにした方が更に簡素化かも…だが、でも芸がなさすぎるし簡素化するにしても「ここまで!」という限度も必要だろう。