『凍る庭一輪咲きし水仙を長く見つめる何思う君』
『如雨露抱き車椅子漕ぐかの君は寒き朝にも楽しみ有りて』
『パン屑を芝に撒きたる窓越しに鳥は来ぬかと鏡で見たり』
行事を中心に一年を設計するのは好きでなかった
どちらかと言えば 日々の中でそれぞれが入り込める領域が好きだった
季節を通して折々の活動は大切だけれど それに力を入れるあまり
日常性が疎かになっている取り組みを多々見てきたから
現実として日々の現場は厳しい状況になっていく一方だから
そんな手間隙はなく せめて行事だけでも と言う思いもあるけれど
圧倒的一人の時間を豊かに提供しよう は 辛さがともなうのが実感だ
『スズメバチ暦は小雪巣穴より狩に飛び出る十三度の日』
『襟ぐりを歩き止りつスズメバチ見つけた我も身は凍りたり』
『静止させ肩にまわるを退治する友の震えはしばし止まずと』
三人で恐怖の体験をした
濃い色のウンンドブレーカーを着ていた仲間にオオスズメバチが取り付いたのだ
急斜面の侵入竹除伐だから 逃げることもままならない
首周りのフードの縁を歩き回って 顎や頬と紙一重だ
動くなと指示して うろつく面をゆっくりと開放させた
顔から離れたところで 専用殺虫剤を直噴して退治した
本人はしばらく震えが止まらないと言っていたが
私も首筋に羽風を受けてホバリングされたことがあるから
恐怖は良くわかる
『子等集う林道に散るドングリは拾われもせず踏まれ割れたり』
『好き好きに紅葉拾いし幼子は指しては母を採っては母に』
『きのう今日あらずに遠き我が昔唱歌歌いて望みし未来』
母子のグループが谷地に遊びに来た
弁当を広げた後 てんでに散策を始めたが 行動がイメージと一致しない
バッタを見ても ドングリがあっても 歓喜がないのだ
あまつさえ お菓子が少ないと大声を上げている子もいる
私のその頃と半世紀以上の時間差があるが この貧しさに愕然とした
物心ついた頃 いわゆる唱歌をソノシートやラジオで聴いて
行く末に淡い想いを抱いた そんな情感をこの子達は持てるのだろうか
今 唱歌を聴くと鮮やかに蘇る記憶は 加齢の証か
『竹切れば現れ出でし雑木林葉落とせし枝木枯らしに揺れ』
『切りし竹横に渡せし急斜面鳶師のごとく伝い竹切る』
『赤松の床掻きすれば表れし秋香もたらす土色嬉し』
マツタケ林再生の第一人者 吉村先生の実地研修を受けることが出来た
感想はいつも思っていることと同じ
里山保全は 里山が暮らしの中に組み込まれていない現代は
そのためにする作業ばかりで 大変な労力だ と言う事
今の手入れも 継続される保証はないし やめれば荒れるだけ
極めてローカルでローテク そしてマイナーな活動だ
夢のひとつが マツタケ生えるかなあ ということ
今日の最低気温7度 最高気温13度 スズメバチがまだ巣穴から飛んでいる
『故郷に初雪撒いた風ならば身はかじかめど愛おしく受く』
『枯れ松にコツココツコと餌を探すコゲラの下で昼を立ち食む』
北西の風がすごかった この季節風で郷里も里に雪が舞った
情緒的には郷里に雪を運んだ風のように感じる
気温も低かったので 陽だまりでも動かずにいると寒い
昼は立って食べていたが コゲラも食事時だった
時々 松の皮が落ちてくる 低い鳴き声を出したりしていたが
歓喜の声なのか 腹がなっていたのか定かではない
侵入竹を一掃した雑木林に吹く風が 黄葉を散らせて美しい初冬の情景だ
『桑の実を食みて染めたり指の先』
『歌にありグミ原分けて我が昔』
『アキグミの渋さで戻る五十年』
桑の実は 一緒に採りにいったみっちゃんを思い出す
就学前の頃だったろうか
先日 アキグミの鉢植えの一粒で 少年期に逆戻りした
よく水無川の ほとりに食べに行った
干し上がった川床を渡るのに全力疾走したものだ
川幅が百メートルくらいあったから 子どもにはそれは長く遠い距離
水が出るときは 鉄砲水で火花を発して出てくるからだ
大丈夫と思っても川上を見ながら 快晴でも走ったのだ
怖かった
でも食べたかった 甘いのがあると思った 向こう岸
『鳴かぬ子が鳴き声上げて呼びたもう四肢震えさせ呼吸荒げて』
『尿毒の躯体に回り識無くて母呼ぶ声か駆け寄る足か』
『声などはたてぬこの犬臨終の時が来たれば吐きし鳴き声』
『愛犬の温さ消えゆく膝の上次は健やか生まれたまえよ』
『身体拭く ひと拭き毎に なぜ絞る タオルは強く 絞りたるのに』
『奈が骨は 我が里山に 山桜 活けたる下で 花と生まれよ』
人間に換算すれば80歳相当になる愛犬が逝った
血統が重んじられた結果 犬種特有の好発性疾患はほとんど患った
それでも瀕死の瀬戸際に居るような状況でよく生き永らえた
愛嬌だけのお馬鹿な犬だったが 果たした役割は大きかった
一ヶ月以上も前に覚悟はしたが それでも悲しさはこみ上げてくる
それは命がひとつ消えた事ではない もうそこに相互作用が存在しないからだ
飼育する束縛も責任も消えたが その自由と引き換えに喪失感と寂寥感が住み込む
親にもしたことがないのだ
線香上げて 水と花を供え 般若心経を唱えるなんて
2008/11/15(土)
会員15名
里山祭りに出店 1:木工体験 2:知恵の輪紹介指導 3:木の実細工実演 4:トン汁・キノコ汁
学校の臨時登校日と重なったため、学齢前の子供達ばかりになってしまった。結果として材料を切断しておいたのが幸いした。
木工は強度を考えてネジ止めの仕様だったが、簡便さでは釘に軍配があがる。
月間自主活動
延べ43人:散策道普請・山桜(景観樹)刈りだし・侵入竹除伐