とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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トヨタの呪文

2005年03月09日 22時33分58秒 | エトセトラ
昨年末のスマトラ島沖地震のおかげで「TSUNAMI」という日本語が全世界に普及した。
だが、天災を表す言葉だけにKARAOKEやSAMURAIと同じように、また世界に通用する日本語が新たに増えたんだ、と素直に嬉しがっているわけにはいかない。
大勢の人々の死亡が確認されたり、経済復興が思うように進まないというニュースが流れるたびに「TSUNAMU」という言葉が口にされるわけだから、どちらかというと忌み嫌われるべき単語だろう。

TSUNAMIと同じように、いま全世界に普及しつつある日本語の単語がある。
「KAIZEN」という言葉がそれで、主に工場やオフィスなどの製産現場で使われている単語なのだ。
語源はもちろん「改善」で、作業やシステムの欠点部分を改めたり、新たに創造したりすることによって、生産性を高めようという運動のことを指す。

このKAIZENを唱えはじめたかのトヨタ自動車。
日本企業で初めて一年間の純利益が一兆円を超えた巨大企業で、今後数年の間にゼネラルモーターズの販売台数を抜き去り世界一になる予定だという。
ここのところ元気のない日本企業が多い中、トヨタ自動車は異色の存在といえるだろう。
この会社の躍進を支える製造方法を一般に「トヨタ生産方式」と呼んでいる。KAIZEN活動もこのトヨタ方式の要素の一つなのだ。
このトヨタ方式は世界中から絶賛されて、書店のビジネスコーナーへ足を運んだりすると、数えきれないほどの関連本が平積みされている。

ひとつのことが成功すると、それをすぐに真似したがる奴が出てくるのも世の常というもの。
多くの企業がトヨタのジャストインタイム方式を採用し、そして失敗している。
「トヨタという大企業が成功させている方法だから、きっとうちでもうまくいくだろう」と考えているサルのような脳みその経営者がなんと世間には多いことだろう。

うちの会社もこの猿まね会社の一つである。
トップがトヨタ方式に惚れ込んで、わざわざトヨタグループからのコンサルタントまで呼んでいる。その結果、商品の品切れ、納期の長期化、組織の硬化、協力会社の非協力、が発生してかなり混乱しているのだ。
工場の社員は。短期間で商品を製造出荷しなければならず、深夜や翌朝まで働いて、疲れが溜まって士気も下がってきている。
だから、猿まねだけで、ことが上手く運ぶと考える人たちはどうかしているとしか思えない。
会議の席で「トヨタはトヨタ。うちみたいな小さなメーカーは真似してもだめですよ。会社の規模と扱い商品が違います。オリジナルの方式でいくべきです」と発言したら、あほかコイツと無視された。

トヨタトヨタで売り上げ減少。
KAIZENすべきは、役員さんの頭脳かな、と。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (daisuketeikoku)
2005-05-02 11:43:44
こんにちはブログ読ませて頂きました。現在、大学の授業で「トヨタ生産方式」というのを調べているのですが、実際にはどんなことをやっているのでしょうか?もし宜しければ返答いただけると幸いです。
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