とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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ヴィジョンズ・オブ・アメリカ第二部

2008年10月11日 16時31分54秒 | エトセトラ
恵比寿にある東京都立写真美術館で開催中の「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ第二部」を観賞してきた。

アメリカが世界史に輝きを放ち出した頃、偶然にも写真の技術が誕生し、その「輝けるアメリカの歴史」が白と黒を基調にしたイメージとして印画紙に焼き付けられることになった。
輝ける歴史は、イメージという形で残り、そして様々な光を放っていた。

ある時は成長する経済の象徴である摩天楼のように、黄金色をした輝きであり、
またある時は子供も働かなければならない移民の乏しい生活を感じさせる薄暗い光であり、
さらに、またあるときはヨーロッパにもいないような巨額の富を得た成功者の自信に満ちた輝きであり、
そしてまたある時は、自分の意思に反して大西洋を強制的に連行され売り買いされたアフリカ系移民のスラムの光の無い世界であったりするのだ。

今回の第二部では、偶然にも人類史上最初の株価暴落となった「大恐慌時代」が含まれており、興味をそそられた。
しかしそれ以上に、ひとつの時代的なイベントとしてフォトジャーナリズムの誕生にスポットが当てられていた。

ユージン・スミスやロバート・キャパ、マーガレット・ホワイトなどに代表される報道写真の世界が開花した時代で、その報道写真がアメリカという国の金看板であることを考えると、写真のアメリカの輝きは決して偶然ではないと思えてくる。
ある意味、アメリカを拠点を置いたカメラマン達が世界中に飛び出し、レンズを通して彼らの価値観を焼き付けて行った時代でもあるのだ。

前回の第一部より写真は洗練され、被写体もお馴染の人物や風景が数多く登場する。
写真が最も生き生きとしていた時代の一枚一枚が、興味深く、そして人の汗と地の匂いを感じさせるのだった。

~「ビジョンズ・オブ・アメリカ 第二部 1918~1961」東京都立写真美術館 10月19日まで~



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