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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



スカイマークエアラインズのチケットで極力避けてきた日航機材の飛行機に乗ることになった。
トラブルに巻き込まれるのでは、という不安とは逆に良いこともあり、おかげでJALの機内誌を読むことができた。

今回読んだJALの機内誌には医学博士にしてベストセラー作家の養老孟氏のエッセイが掲載されていた。
「キリスト教的考えがもたらすもの」
と題されたエッセイはもっともなことを主張しながら、その一方「やっぱり日本はダメだよね」という「知識人」によくある論調に終始していて、実に興味深い内容だった。

氏は前半で、
「「学校の神父さんから善行は人が見えない場所で行ってこそ善行です」「それじゃ悪いことを働くときと同じですね」だからボランティア活動を就職や学校の成績のポイントにするという考え方はおかしいのだ」
という論調を主張する。
日本人は自主的活動や善行をアピールするということを旨としているが、その考え方はキリスト教的考え方からすると、とても愚かなことなんだよ、とたしなめてくれているのだ。
そして後半で次のような意味合いのことを主張する。
「世界の人々は神という普遍的な存在を意識しながら成長する。キリスト教やイスラム教では神が存在し、その中から世界の動きというものが理解できるようになるのだ。普遍的なものを持たずに成長する日本人は、だからダメなんだ」
と見下してくれるのだ。

本当にこの人がベストセラー「バカの壁」を書いたのか。
そのバカの壁を読んだことがないので、内容をどうのこうのと云う資格は持ち合わせていないけど、ベストセラーになったくらいだから、きっと多くの人々に共感を呼ぶ内容が溢れているのだろう。
しかしこのJALの機内誌のエッセイでは自国の文化や宗教観も知らないで、よくもまあ抜けしゃあしゃあとこんなことが語れるものだと感心する。

キリスト教を批判する気は毛頭ないが、キリスト教を例にとって「日本はダメだ」を繰り返す文化人にはあきれ返ることが少なくない。
ともかくキリスト教を信奉する大学の偉い先生には理解できるが、家の宗教が仏さんの我々一般庶民には理解のできない「アホの壁」が存在していることは間違いない。

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